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ヘルベルト・フォン・カラヤン、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン: 交響曲全集 (1975-1977年録音)

ベートーヴェン: 交響曲全集 (1975-1977年録音)
Tower Records
Amazon
Deutsche Grammophon / Blu-ray Audio(2枚組)

カラヤンがベルリン・フィルと録音した2度目のベートーヴェン全集を、Blu-ray Audio2枚に収録。最新のドルビーアトモス(48kHz/24bit)のほか、Stereo(192kHz/24bit)、5.1chサラウンド(192kHz/24bit)の3つの音源で聴くことができる注目盤です。

ドルビーアトモス収録、カラヤンの70年代のベートーヴェン全集


上が三面びらきのデジパック。左右にBlu-ray Audioのディスク。下がブックレットを開いたところ。

ドイツ・グラモフォンは近年Blu-ray Audioを定期的に出していますので、カラヤンの2度目のベートーヴェン全集がBlu-ray Audioで出たことには驚きませんでしたが、ドルビーアトモス(Dollby Atmos)を収録していることには驚きでした。

ドルビーアトモスは、従来の5.1chや7.1chよりさらにスピーカーが多く、天井に追加することで高さまでも表現を可能にしたサラウンド。もちろん高さだけでなく全体のサラウンド感もより臨場感が出る空間となります。

スピーカー設置で敷居が高そうなドルビーアトモスですが、天井につけるスピーカーの数は自由度があるようです。なので対応機材さえ揃えば、意外と導入はむづかしくない気もします。

ということで、本作のレビューを書きますが、最初にお断りしておきます(^-^;。

レビューはドルビーアトモスではありません。5.1chサラウンドと2chステレオです。

SACDラボの環境は5.1chと2chまでですので、それらを聴いた感想となります。ご了承ください。ドルビーアトモスは将来の楽しみとしておきます。

3つの音源は、リモコンの色ボタンで簡単に選べる


メニュー画面より。ドルビーアトモスに対応していない本機で、ドルビーアトモスを選択するとフリーズしてしまう。左上がトラックナンバー。

OPPO BDP105D JAPAN LIMITEDにディスクを入れると、メーニュー画面が表示されます。

本機ではドルビーアトモスは再生できないので、ドルビーアトモスのメニューはグレー表示になっています。

音源の選択はメニュー画面を表示しなくても、リモコンの色ボタンでできます。ドルビーアトモスは緑色、5.1chサラウンドは赤色、2chステレオは黄色です。再生中でもボタン一つで変更できるので非常に便利です。

5.1chは包み込むサラウンドというより、豊かに響く2ch風


開くとこのように

では5.1chで聴いてみます。

この5.1chはセンタースピーカーに音が割りあてられていません。サブウーファーも音がでないと思われますので、実質4chになります。これはセンタースピーカーの種類が違う人にはありがたいでしょう。

5.1chは、とてもいい音場です。一聴すると「2chで再生しているのでは?」と思うくらい、アンビエント成分が左右や後方では薄めです。2chを無理に左右に広げるようなことはしていません。ホール感に包まれるサラウンドでもありません。


パッケージ裏。できるならドルビーアトモスで聴きたいが、5,1chも192kHz/24bitという高スペック。

しかし5.1chでは、2ch特有の音の彫りの深さを残しつつ、人工的な感じがしない自然な響きの深さを実現しています。

オリジナルが2chの音源をサラウンド化したものは、サラウンド感を出すためか、ともすると2chの両翼を広げる音だったり、ホール感を加えるものがありました。それに比べると今回の5.1chは左右に広げるというよりも、薄い残響をまぶした感じでしょうか。より音楽的な響きに近づいた気がします。

最新DSD録音のサラウンド空間のような、360度透明な空気感とは違いますが、こういう5.1chもあっていいと思います。

距離はオーケストラに近い位置で聴いている感じ。聴く部屋の広さやスピーカーの間隔にもよりますが、我が家では収録されたフィルハーモニーのステージ近くか、どこかの練習場でベルリン・フィルを間近に聴いているかのような距離に感じました。

2.0ステレオは、オーディオライクなアナログ音


OPPOのトレイにディスクを。OPPOでは2chでも5.1chともにアナログ出力。

2chステレオはどうでしょう。

こちらは5.1chを聴いた後では、やっぱり空気感は消え、スピーカーの音そのものに感じます。

とはいえ、これが昔ながらのオーディオ・ライクな2chの音であります。ここからはアナログ全盛期のベルリン・フィルの音を、オーディオ好きらしく堪能する時間になりましょう。

このディスクに限ったことではありませんが、これまでBlu-ray Audioの再生は、ブルーレイ・レコーダーからHDMI出力、AVアンプでデコードしていたのですが、それに不満がありました。

新しく導入したDAC内蔵のOPPOの再生はあきらかに音の厚み、透明感が以前と違います。さらにOPPOからはアナログ出力が5.1ch、2chのそれぞれにありますので、Blu-ray Audioがグレードアップして聴けるようになりました。

そのOPPOのおかげもあってか、2chの音は厚みがあり豊か。SACDにも負けない瑞々しさがあります。2chもやはりいいですねえ。

カラヤンへの偏見も消えるBlu-ray Audio。2度目の全集も「いい」


アンチカラヤンも、このBlu-ray Audioを聴くと納得するかも

これまでカラヤンのベートーヴェン全集は60年代の第1回目が良くて、70年代の2度目の全集は否定的だったのですが、現金なもので、Blu-ray Audioの音聴きたさに聴いてみると、2度目の演奏も「いい」のでした。

アンチカラヤンの立場で攻撃していた、甘いレガートや、耽美すぎると思っていた音色が、今回Blu-ray Audioで聴いてみると感じないのですから不思議です。

第1番こそ「ちょっと合わないな」と思うところはあったものの、第2番以降では、美意識のテンコ盛りがどこにも感じられず、キビキビとしています。

第3番〈英雄〉は60年代の全集に負けず劣らず、爽快さがありました。第8番などむしろスピード感がありすぎるほどでしょう。

ベルリン・フィルの音が60年代よりも、はるかに豊穣になっており、加えて70年代のアナログ全盛期の録音ですから、オーケストラが格段にきめ細やかで、肉厚に響く。そうなると、弦楽器がグイグイと刻む音の押し出しが良く、それもカラヤンの演奏を見直してしまった一因かもしれません。

ということで、カラヤンへの偏見が吹き飛んでしまったのが、このBlu-ray Audioでもあります。音質、サラウンド、ベルリン・フィルの響き、カラヤンの演奏。これらが十二分に楽しめるディスクでした。

最後になりましたが、5.1chの出来の良さから予想するに、ドルビーアトモスでは上方まで確かな響きで聴けると予想されます。第九での合唱などどう響くでしょうか。ドルビーアトモスで聴ける日が待ち遠しい。そんなディスクでした。

2019年4月26日

ベートーヴェン: 交響曲全集 (1975-1977年録音)
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Deutsche Grammophon / Blu-ray Audio(2枚組)