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エリック・ハイドシェック(ピアノ)
モーツァルト: ピアノ協奏曲集(第20,21,23,24,25,27番)

Tower Records

タワーレコード限定SACDの、エリック・ハイドシェックの『モーツァルト: ピアノ協奏曲集(第20,21,23,24,25,27番)』を、アナログLPと聴き比べましたので、感想を書いてみます。(アナログプレーヤーはガラード301、カートリッジはオルトフォンSPU#1E)

SACDを廉価盤アナログ・レコードと聴き比べ

メインはやはり名演と言われてきた第20番です。ちょうどSACDラボもアナログ・レコードを持っておりましたので、今回はLPと聴き比べてみました。

LPは70年代に発売になった廉価盤(1000円盤)東芝のセラフィムシリーズです(写真右)。

SACDと比べるのがオリジナル仏盤ではなく、国内盤の廉価盤(それも中古)というのもフェアではないかもしれませんが、ハイドシェックのアナログ盤は中古でこれくらいしか手に入らないのですからしょうがありません。これでもようやく中古で見つけられたほうです。

SACDは押し出しのいい低域。ピアノの音も艶やか

閑話休題。聴き比べてみました。

冒頭のピアノが出る前のオーケストラ独奏部分で、SACDとアナログレコードの差は歴然でした。

SACDではオーケストラの低域の「ダラー、ダラー」というフレーズがぐーっど前に。押し出しのいい低域です。

対してLPでは低域は鳴っているかもしれませんが、前に出てこない感じでに思いました。SACDの低域エネルギーの充実はこの部分だけでなく、ピアノとオーケストラの全ての音に感じました。所によっては身体にズンときます。

モヤっとした音が一歩デッカ録音に近づいたような弦

弦楽についてもう少し書くと、SACDでは低域の充実に加えて、曇りが取れて、タイトに締まりがいい音になっております。でもデジタル臭さは全然ありません。

SACDは解像度が高くクリアになったのでしょう、弦のザラザラ、ゴリゴリというテクスチャアがあらわれた感じ。これは一歩、あのデッカ録音の音に近づいたようなザラザラ、ゴリゴリ感です。

アナログLPではどちらかというと、ややダンゴ系の音で、それでも温かみのある音が「アナログらしい」と聴いてきたわけですが、SACDの音を聴いたあとでは、そのアナログ音もモヤっとしている感が強く思えてしまいます。

ピアノは光沢があり艶やかな音

そしてピアノの音ですが、これもSACDとLPでは全然違います。SACDでは金属磨きで磨いたようにツヤが出ています。光沢があります。そして力強い。

ディスク2とディスク3(モノラル)もいい音

そのほかの曲について書けば、音質はディスク2の方が1961年録音ということで、若干、第20番の入っているディスク1よりも音がいいように思いました。

ディスク3の1957年モノラル録音も問題なし。一級のモノラルの広がり感まではいきませんが、それでも中央にまとまった音は、聴きやすい音で、なんら不満が起きません。チャーミングな第21番は、ステレオだったら云々など思うことなく、曲に没頭してしまいました。

フランス式バズーンなど、木管楽器の音色が独特

最後に細かいですが、付属解説書にフランスのオーケストラだから、フランス式バズーンなど木管の音色が独特、のようなことが書いてありました。

今まで第20番を聴いてきてそこまで思ったことはなかったのですが、SACDを聴いていると、確かに木管群の音がちょっと独特のように思う瞬間がところどころ現れます。これも高音質になったせいで分かるようになったかも。

ただそれは第20番より、第25番とか第27番の方で気づくようでした。この辺は個人差ですのでご自身でお確かめください。

まとめ

まとめますと、国内盤廉価盤LPの聴き比べは、圧倒的にSACDの方がよくて、ここまで差が出るのも珍しい。オリジナルLPを聴いたらまた違う感想かもしれませんが、今時オリジナルLPを手に入れるのはむづかしいでしょう。

ということでこのSACDは音質はよくなったし、今まで手に入らなかった演奏も手に入ったし、ジャケットもLP廉価盤より断然いいし。言うことなしのSACDでした。

Tower Records ▶モーツァルト: ピアノ協奏曲集(第20,21,23,24,25,27番)<タワーレコード限定>SACDハイブリッド