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鈴木秀美 バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)

deutsche harmonia mundi

BMGファンハウス

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チェロ:アンドレア・アマティ(?クレモナ1570年頃?)
第6番:5弦のチェロ・ピッコロ(作者不詳18世紀前半ドイツ)
弓:ルイス=エミリオ・ロドリゲス(1995年デン・ハーグ)

鈴木秀美さんは、ピリオド楽器のオーケストラとして有名なあのブリュッヘンの〈18世紀オーケストラ〉やクイケンの〈ラ・プティット・バンド〉で活躍してた方だそうです。そしてこれが2度目の〈無伴奏チェロ組曲〉の録音。

〈無伴奏チェロ組曲〉のピリオド楽器による演奏

 ピリオド楽器とはオリジナル楽器ともよばれ、簡単に書くと当時の楽器ということです。18世紀、19世紀は楽器の進歩も著しかったので、チェロも今とバッハの時代では音がすごくちがうわけです。
 現代のチェロが厚みのあるマッチョな音だとしたら、ピリオド楽器のチェロは軽やかさと透明感があります。バッハの音楽のあやを繊細に出すのはピリオド楽器のほうだと思うんですけど。
 この〈無伴奏チェロ組曲〉もそのピリオド楽器による演奏です。

DSDレコーディング+4.0chマルチチャンネルでバッハの大宇宙に包まれる

 DSDレコーディングされたこの〈無伴奏チェロ組曲〉はとてもいいです。低音は床をはうように鳴り響きます。弦がこすれる音もテクスチャが見えるかのようです。
 マルチチャンネルはサブウーファーとセンタースピーカーを使用しない4.0chのマルチチャンネル。
 これがまた良かった。変なたとえですが、2チャンネルが奏者のいる部屋の窓から演奏を聴いているのだとしたら、マルチチャンネルは奏者のいる部屋の中に入って聴いている感じです。
 鈴木秀美さんとわたしだけが部屋にいて対峙している。そして鈴木さんがわたしのためだけに弾いてくれている。そんな心地なんですね。
 これを「臨場感」と言ってしまえば簡単ですが、それよりも演奏者と「音を共有している」という感じがすごくしました。音楽は「響き」「残響音」まであっての表現でしょうから、それが再生されるマルチチャンネルの良さをひしひしと実感できます。
 SACDマルチではただ聴くだけ。どこまでも入っていけます。バッハの書いた音符を一音一音紡いでいく鈴木さんの演奏に耳を傾けていくと、ほんとうに色々な世界が含まれていますね。〈無伴奏チェロ組曲〉はバッハの「小宇宙」とよく紹介されますが、これは「大宇宙」であります。

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2004.4.12