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スティーヴン・クレオベリー指揮ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団/エンシェント室内管弦楽団
モーツァルト:レクイエム

ディスク
Mozart : Requiem
The Choir of King's College
Stephen Cleobury
Academy of Anicient Music

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録音 : 2011年6月26~27日、9月27日 キングズ・カレッジ聖堂 (ケンブリッジ)

普通の1枚ものプラケースにSACDとCDが入っている。

CDがボーナスで付く。ソプラノのエリン・マナハン・トーマスがナレーション。
「レクイエム」成立、作曲の話などのオーディオ・ドキュメンタリー。最後のほうに、現代の補作のことにも多く具体的に触れている。たとえば、SACDでは収録されていないモンダー版の別の部分の演奏などもでてくる。
補作を製作した作曲家マイケル・フィニスィーも出演して話をしている。
CDは、全部で66分ほどあります。英語聞き取りの勉強にもなります。

ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団のSACD

 本作はケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団が、自主レーベル「THE CHOIR OF KING'S COLLEGE」でリリースしたSACDです。曲目はモーツァルトの「レクイエム」。

  モーツァルトの「レクイエム」のSACDはいろいろリリースされていますが、本作の特色は、なんといっても合唱が、ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団ということでしょう。

 女性歌手がおらず、少年たちがソプラノ、アルト・パートを歌っているので、大変透明な響きです。
 もうひとつのこのSACDの特色、古楽器のエンシェント室内管弦楽団の透明なサウンドと重って、美しい「レクイエム」を聴かせてくれるのでした。

 また独唱の4人(こちらはアルトとソプラノは女性)が、合唱団やオーケストラと同じくらい透明な声の持ち主なので、独唱、合唱.オーケストラで見事に透明な「レクイエム」を聴くことができます。
 とくにアルトの、エリン・マナハン・トーマスは、あのエマ・カークビーを思わせる美しい声で気に入りました。

2chステレオのみだが、清涼な響きに満足

 このSACDはマルチチャンネルが収録されていません。

 マルチチャンネルならその残響が、自分の背後(後頭部や背中)で繋がるのを体験できるのですが、残念ながら、2chでは、教会の入り口に顔面までを入れた状態でのリスニングということになります。

 しかし2chステレオ再生でも、キングズ・カレッジ聖堂の響き(ながい残響)が大変豊かに響きますので、マルチなしの不満もなくなりました。
 「レクイエム」は、大雑把に言って、ジェスマイヤーが補作した後半が、モーツァルトの筆による前半にくらべると、深みが落ちますが、その分、合唱の収める比重が大きくなりますので、後半でこのキングズ・カレッジ合唱団の清涼さが、見事にひきたつのでした。

5つの補作、『魔笛』を思わせる「ベネディクトゥス」

 収録されているのはジェスマイヤーが完成させた通常の「レクイエム」ですが、本編のあとに5曲の補作が入っているのも、このSACDの魅力です。

 「アーメン(フーガ)」はC. リチャード・F. モンダーの作。「サンクトゥス」はR. レヴィン/F. バイヤー、「ベネディクトゥス」をD. ドゥルース、「クム・サンクティス・トゥイス」はR. レヴィン、「ラクリモサ」をイギリスの現代作曲家マイケル・フィニスィーが補作しました。

 僕が気に入ったのはD. ドゥルースによる「ベネディクトゥス」です。
 ジェスマイヤー補作による現行の「ベネディクトゥス」も、綺麗な曲ですが、普通の宗教曲で終わっているのに対して、D. ドゥルース作の「ベネディクトゥス」は、まるで『魔笛』の一部のような「ベネディクトゥス」になっております。

 モーツァルトが書き上げた「レクイエム」の前半が、同時期の『魔笛』のテイストを含んでいることを考えると、このD. ドゥルース作の「ベネディクトゥス」は、クラリネットをオブリガードに入れ、タミーノやパミーナ、ザラストロが歌うようで、「いい線言っている」と思いました。

B00BHAQQSW
The Choir of King's College Cambridge/モーツァルト : レクイエム [SACD Hybrid + CD] [輸入盤]

2013.4.11