マイルス・デイビス オン・ザ・コーナー【2006年DSDマスタリング】 |
普通のプラケースにブックレット。 ブックレットには日本語で、2000年4月筆のボブ・ベルデンの作品解説ライナー(わりと長め)。 マイルス、ハンコックやリーヴマン、マクラフリンの白黒写真1枚づつ。 アナログ・レコードの見開きにあったイラストは、透明ディスクトレイの下に見える。 |
ジャズを越え、音楽シーン全般までを超えた、マイルスの傑作 『オン・ザ・コーナー』は間違いなく、マイルス・デイヴィスの全作品の中で、一番の“問題作”でしょう。 発表当時、この作品の放った“違和感”は、とても言葉では伝えられないでしょう。僕も、高校1年の時、LPのジャケットを見て「絶対、聴く気がしない!」と思ったので、偉そうなことはいえません。 すさまじいリズム、襲いかかるパーカッション 1曲目の「オン・ザ・コーナー」から、すさまじいリズム。 さらにファンクにせめる後半 LPのB面にあたる「ブラック・サテン」は、当時シングルカットされただけに、ファンキーでポップな仕上がりです。 SACDの音『オン・ザ・コーナー』は、いやでもリズムが耳に襲いかかるのですが、SACDの太めの音では、たくさんのリズム楽器が、「耳障りでない音」で聴けます。リズムは強烈なのですが、「音自体は心地よい」のです。 Amazon マイルス・デイビスのSACDハイブリッド・シリーズラウンド・アバウト・ミッドナイト (モノラル)
1955-56年録音。マイルスのCBS初録音。ミュート・トランペットはマイルスの名刺代わり。メロディアスな曲が多く、誰にもマネできないマイルスの歌心が楽しめる作品。これを聴くと、マイルスは本質的に上品で、オシャレな人だというのがわかる。レッド・ガーランド(p)のゴージャズなピアノもいい。初心者は間違いなく、聞き込んだ人ならなおさら、シブいジャズの時間がすごせるアルバム。モノラルだが問題なし。ジャズは初めて、マイルスは初めての人にはこのあたりからがオススメです。 Amazon マイルストーンズ
1958年録音。最高にキャッチーなタイトル曲を収録。セクステットになった演奏は、前作『ラウンド~』より、インプロビゼーションが、より抽象的で広がりがでているのが分かる。モード奏法は実はここから部分的に始まっていた、とも。とにかく、まるで筋肉運動のように、元気ハツラツなジャズ・アルバムです。 Amazon スケッチ・オブ・スペイン
1959-60年録音。ギル・エヴァンスとの共演盤のなかの1枚。他のアルバムと違って、マイルスの音楽色はうすいのが特色(ま、共演盤だから)。マイルスは、いちトランペッターとして、ギル・エヴァンスのジャズ・オーケストラをバックに、熱くせつせつと歌い上げる。ギル・エヴァンスのオーケストラ・アレンジも、興味のある人には聴き所でしょう。フラメンコ調のアレンジも多いです。ロドリーゴの原曲をもとにした「アランフェス協奏曲」が有名だが、最後の曲「ソレア」も快演だと思う。 Amazon カインド・オブ・ブルー
1959年録音。ジャズの歴史を変えた名盤。ここでの演奏は、深みと幽玄のきわみです。『マイルストーンズ』ではアダレイ(a.sax)に押され気味だったコルトレーン(t.sax)が大躍進している。オーディオ的にもSACDの音が楽しめる1枚と思う。2002年版マルチチャンネルの音の定位位置はステレオ・ヴァージョンと同じ(と思う)。しかしリアに残響成分を入れることで、演奏がステレオ・ヴァージョンより立体的に感じる。自分の部屋にマイルスやコルトレーンが来ている感じ、だろうか。SA-CDラボレビュー Amazon マイ・ファニー・ヴァレンタイン
1961年録音。ジョン・コルトレーンが退団して、60年代の黄金クアルテットができるまでの、過渡期に録音されたアルバム。メンバーが固定しないため、この時期はライヴ盤が多いのだが、これは珍しいスタジオ録音。コルトレーンが2曲ゲストで参加しているのが二人の最後の共演。このコルトレーンがいい。その存在感はマイルスもしのぐほどで、マイルスも「セイチョウシタナア…」とあのしゃがれた声で喜んだだろうか。マイルスのミュートがさえるタイトル曲「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」はやっぱり最高です。 Amazon マイ・ファニー・ヴァレンタイン
1964年録音。NYリンカーンセンターのライヴ録音。バラード曲を集めたアルバムと紹介されることも多いが、演奏は単純なものでなく、ハービー(p)、ロン(b)、トニー(ds)の変貌自在なリズムセクションが、ラテン風ヘ、アップテンポヘと自由に曲調を変えていく、聴き応え十分の演奏。マイルスの抒情性とパワフルなトランペットも素晴らしく、買ってソンのない1枚。音質もSACDの空気感に「お、なんかCDとちがう」と感じてもらえる(と思うのだが)。 Amazon フォア&モア
1964年録音。『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』と同日のライヴだが、こちらはアップテンポの曲で構成したアルバム。文字通り超スピードで突っ走る演奏は最高。この時期のライヴごとに変貌する「ソー・ホワット」など、スタジオ録音にはない白熱の演奏が聴けます。あと、ジョージ・コールマンのT.saxもいいです。アナログの厚みが、SACDでかなり出ていると思います。SA-CDラボレビュー Amazon イン・ア・サイレント・ウェイ
1969年録音。『フォア&モア』から数作の探求をへて、とうとう電気楽器を導入した作品。とはいってもアコースティックな雰囲気漂うサウンドで、ヒーリング感に満ちており、マイルスの作品の中でも独特の印象をはなつ。ショーターのS.SaxもSACDで暖かみが感じられるのではないか。2002年版マルチチャンネルも収録。リア側にザビヌルのオルガン、ハンコックのエレピが位置する。SA-CDラボレビュー Amazon ビッチェズ・ブリュー
1969年録音。翌70年にLP2枚組で発売された本作は、ジャズ史上最大の問題作としてあまりにも有名。それまでの伝統的なジャズとは、かなりかけ離れたフォームだと思う反面、マイルスのトランペット・プレイ自体は、それほど変ってはおらず「やはりジャズだ」とも思えるし、えーいャ、ジズとかロックとか、関係なく聴いちゃいましょう。SACDラボレビュー Amazon オン・ザ・コーナー
1972年録音。『ビッチェズ・ブリュー』で本格的にエレクトリック・ジャズに突入したマイルス。現在の視点ではエレクトリックというより、ファンクで、ヒップなリズムの印象が強烈な作品。リズムのテープ・ループや、編集を多用。エレピ、シンセサイザー、タブラ、シタールの使用など、幾重にも重なり合った音が、ファンクなリズムとともにうねる。ロックリスナーには『ビッチェズ・ブリュー』より、こちらのがオススメ。「ブラック・サテン」は最高にカッコいいマイルスでしょう。 Amazon その他のマイルス・デイビスのSACDマイルス・デイビス/70年代、カムバック後の80年代のSACD
SACD専用ディスクの国内盤、輸入盤 2011.2.2
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