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SACDhybrid ダイアナ・クラール
ザ・ガール・イン・ジ・アザー・ルーム


Diana Krall
The girl in the other room
Hybrid Stereo/Multi-ch
録音2003年
輸入盤、Verve
SACDハイブリッド

Amazon(輸入盤ハイブリッド)

角の丸いプラケース。ブックレットは4つに折り畳んだペラ1枚。カラーだが、歌詞とダイアナの写真が1枚。

Amazon(SHM-SACD、2chステレオ)このレビューとは別のもの

 ※このレビューは、マルチチャンネルを収録したハイブリッド盤のレビューです。SHM-SACD盤とは別のものですので、ご注意ください。

エルビス・コステロとの共作を含む、新たな境地

 本作はダイアナ・クラールのそれまでの作品『ウェン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ』『ザ・ルック・オブ・ラブ』とは趣きがちがうアルバムです。これら2作のあとに本作を聴くと、最初とまどうかもしれませんが、実は本作が最も充実したアルバムかもしれません。
 パートナーであるエルビス・コステロとの共作が6曲収録されてます。タイトル曲は聴いただけで「コステロ節」。コード進行、リズムが独特です。他にトム・ウェイツや、ジョニ・ミッチェルの曲も歌っています。

ダイアナの自我が現れているアルバム

 コステロとの共作は、単なる話題作りではなく、重要な変化を感じさせました。
 これらを歌うダイアナは、ジャズ・ヴォーカルというよりも、キャログ・キングみたいなシンガー・ソングライターの風格を抱かせます(歌い方は、もちろんジャズ風ですが)。
 そのせいか、このアルバムではダイアナのピアノがすごくいい。ハービー・ハンコックを思わせるような過激なフレーズがバンバン出てきて「こんなに上手だったのか」。今までの作品では聴けないピアノプレイでした。
 この作品には、名作『ウェン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ』や『ザ・ルック・オブ・ラブ』が、“イージーリスニング”に思えてしまうほど、彼女の自我が表出しています。“癒しのダイアナ”から“ちょっと不良のダイアナ”でしょうか(笑)。
 もちろん“癒しのダイアナ”は7曲目「アイム・プリング・ユー」で。この1曲で、アルバム1枚分の癒しがもらえます。

SACD2chステレオで、より「ブルージー」に聴きたい

 『ウェン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ』や『ザ・ルック・オブ・ラブ』のSACDは、断然、マルチチャンネルが好きでしたが、このアルバムはSACD2chのほうをメインに聴きたいと思いました。
 2chステレオですと、このアルバムの「ブルージー」な雰囲気がより強調されるのです。サラウンドのゴージャスな雰囲気よりも、ストイックな前面だけの音のほうが、先に書いたダイアナの自我を、強烈に感じることができると思えました。
 もちろんSACD2chはやわらかく(本当にいい音!)、この音でダイアナのヴォーカルを聴くと、結果的には“癒し”になっていると思いますが(笑)。

マルチチャンネルの音

 一応、マルチチャンネルのことも書いておきます。
 サラウンドは「ダイアナの部屋にやってきた感じ」です。ベースは床全体で響くような迫力。ギターはリア側に置かれています。もちろんこれも悪いものではありません。2chとマルチ、どちらも気分で選べばいいと思います。
 ラスト4曲はコステロとの共作が並びます。宙に浮いたようなメロディなのに、なぜか引込まれてしまいます。録音はアル・シュミット。

Amazon(輸入盤ハイブリッド)
Amazon(SHM-SACD。SACD専用、2chステレオ)このレビューとは別のものです。

ダイアナ・クラールのSACD
ダイアナ・クラール/ウェン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ
サラウンド空間は夜空の下にいるよう
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ダイアナ・クラール/ザ・ルック・オブ・ラブ
ムーディーなボーカルにはマルチが1番
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ダイアナ・クラール/ラヴ・シーンズ
ドラムなしで、まったりとダイアナに染まる
Amazon
2011.2.18