ムーディなボーカルにはマルチチャンネルが一番
ダイアナ・クラールが、しっとりと歌う。
バラードとボサ・ノバ中心のアルバムである。
このSACDはマルチチャンネルで聴くことをオススメしたい。でれー、いい感じで空間が広がります。
今まで、マルチチャンネルの完成度で、ベスト1はピンク・フロイドの『狂気』かなあ、と思っていたのだが、いやいや、この『ザ・ルック・オブ・ラヴ』のマルチも、それに匹敵するくらいの素晴らしさだ。
『狂気』がスペクタクルなマルチの最右翼なら、これはしっとり、癒し系マルチの最右翼(わたしが聴いた中では)でしょう。
ダイアナのアンニョイな声、ボサノバ調のギターにフルート、ストリングス、さりげないパーカッション。
登場するのは、それだけなのに、マルチに配置された空間がプラネタリウムのように広がっていい。
すごいマルチを作るには、大げさなことしなくてもいいんだなあ、という見本です。とくに忍び寄るストリングスは効果抜群。
このディスクを実際、人に聴かせたことがあるが、ボサ・ノバのリズムと、ゴージャスに広がる空間に、マルチ初体験の人も、目を見張っていた。
もし、「マルチってたいしたことないナア、2チャンネルで十分じゃん」と思っている人がいたら、このディスクのマルチを聴いてみてください。きっと満足すると思う。
「部屋の明かりを落として、ゆったり聴くぞ」の1枚である。
2004.8.19
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