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Various Artists
Master 2019 Superior

Master 2019 Superior
Master Music / SACDハイブリッド / ステレオ
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アジアのオーディオファイル・レーベル、Master Musicのコンピレーション・アルバム

Master Musicが毎年リリースしているコンピレーションの最新版が今年もリリースされた。SACDハイブリッドによる『Master 2019 Superior』である。

Master Musicは競争の激しい音楽市場で25年以上の歴史を誇るレーベルだ。ヨーロッパを中心とした100以上のレーベルと取引しており、日本のジャズレーベルVenus Recordsのアジア市場への紹介にも貢献している。

『Master 2019 Superior』には、異なるレーベルからいろいろな曲が14トラック収録されている。

選曲、曲順はレーベルオーナーであるスティーブン・モック。綿密に計算されていて、コンピレーション・アルバムにもかかわらず、1枚のアルバムのようだ。一言で言えば、ジャズ系の女性シンガーたちが次々と歌い、時折ジャズ系のインストルメンタルが流れるという趣向だ。それらを挟むように最初と最後をクラシック曲にしているところもニクイ。

音質も、全体を通して聴いて違和感を感じない肌ざわりである。明るくカッチリしたサウンドだと思う。唯一、クラシックの2曲だけは残響音の広がる音場であるが、それはジャズ/ポップスの録音とクラシックの録音の違いであろうから当然とも言える。

まずはセンターに浮かび上がる女性ヴォーカルを次々と楽しみたい。ある歌手はしっとりと、ある歌手はハスキーに、その歌声を披露してくれる。

ドイツの新進シンガー、ステファニー・ボルツはアメリカ風の曲にのって歌う。シンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」をカヴァーするのはディー・ドライ・ダーメン(ボーカルはリサ・ワラント)だ。スウェーデン出身のジャズ系シンガー・ソングライター、ジョセフィン・クロンホルムのしっとりとしたヴォーカルもいい。そしてSACDラボレビューでも取り上げた北欧のシンガー、インガー・マリエもハスキーなヴォイスを聞かせる。

ここまで続いてきた女性ヴォーカルも、6曲目でマッシモ・ファラオ・トリオによるピアノ・トリオ演奏となる。

そのあとは再び女性シンガー、LINNレーベルでおなじみのクレア・マーティンが登場。今年Stunt Recordsからリリースした『バンピン~セレブレーティング・ウェス・モンゴメリー』からの1曲である。同作品はSACDでリリースされていないから、ここで聴けるのはうれしい。

このあともノルウェーのシンガー・ソングライター、カリ・ブレムネスがノルウェー語で歌い、日本のVenus Recordsのハリー・アレン・カルテットのアルバムから「サマー・ノーズ」(アルバム『フレンチ・ララバイ』)、ハリー・アレンのツバをたっぷり含んだテナー・サックスがムードあるプレイを聴かせる。

トラック11のデュエットでようやく男性シンガーが登場である。マリー & ジャン・クロード・セフェリアン、歌うのはシャンソンの名曲「水の輪(Des Ronds Dans l'eau)」。

そして筆者が一番気に入ったのは、シモーネ・コップマイヤーの「Spotlights」で、彼女のヴォーカルにはやはり(ジャケットともども)惹かれた。

全部のアーティストについて言及はできなかったが、普段は聴く機会の少ないメジャー/インディペンデントの音楽に出会えたSACDだった。厚手のデジパックには、収録されたアーティストのジャケット写真とアルバムの全収録曲が記載されている(上写真)。SACDを聴きながら、収録先のアルバムがどんな音楽か思いをはせるのも一興だ。

収録曲(アーティスト名/曲名)

1. Rainer Kussmaul,Sonja Prunnbauer/ パガニーニ:Rondoncino. Allegro
2. ステファニー・ボルツ(Stefanie Boltz)/ Adorable Stupid Girls
3. ディー・ドライ・ダーメン(Die Drei Damen)/ Time After Time
4. ジョセフィン・クロンホルム(Josefine Cronholm)/ From My Window
5. インガー・マリエ(Inger Marie Gundersen)/ Long As I Can See The Light
6. マッシモ・ファラオ・トリオ(Massimo Farao' Trio)/ Sheep May Safely Graze
7. クレア・マーティン&ジム・マレン(Claire Martin & Jim Mullen)/ I Could Get Used To This
8. カリ・ブレムネス(Kari Bremnes)/ Hvis Du Kommer Tebake Igjen
9. ディー・ドライ・ダーメン(Die Drei Damen)/ Venus In The Backyard
10. ハリー・アレン・カルテット(Harry Allen Quartet)/ The Summer Knows
11. マリー&ジャン・クロード・セフェリアン(Marie & Jean - Claude Seferian)/ Des Ronds Dans l'eau
12. シモーネ・コップマイヤー(Simone Kopmajer)/ Spotlights
13. Isabelle Oliver / Comment Ca Va?
14. Aage Kvalbein & Havard Gimse / ドビュッシー:アラベスク

2019年10月9日

Master 2019 Superior
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