Revolver(モービル盤 新品未開封)
埋もれていた『リボルバー』
ビートルズ・マニアなら誰だってアルバムのなかの曲順を憶えているだろう。それは身体に染み付いている、といったほうがいいほどだ。僕も憶えている。
しかし唯一、曲順も収録曲もおぼろげなのが『リボルバー』だ。理由は簡単、中学生の時、友だちから米キャピトルの編集盤『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』を先に借りて聴いてしまったからだ。
そこには「イエスタデイ」にまじって『リボルバー』のいくつかの曲が収録されていた。それで刷り込みが完了してしまったから、のちに聴いた『リボルバー』が寄せ集めのアルバムに聴こえる、という本末転倒の事態になってしまったのだ。クラウス・ブアマンの素晴らしいジャケットであるいもかかわらず、である。
おわかりだろう。僕はビートルズ・マニアとして病んだ人間だ。僕は自らの自我にメスを入れるためにこのレコードを購入した(笑)。だから治療費としてこのお値段は高くはないのだ、えへへ。
生まれて44年、1番高いレコードを前に手が震えた。しかし僕は生まれ変わらねばならぬ。
ビートルズはバンド
モービル盤『リボルバー』を聴いてまず気付いたのは、ボーカルのバランスが違うことだ。国内盤にくらべてボーカルが後ろにさがる(逆に言えば国内盤はボーカルが前面に出過ぎともいえる)。
しかしボリュームを調節するとバンドと声がちょうどいいバランスになって、いいと思う。
特にいいのはリンゴのドラムだ。モービル盤のほうが生き生きと聴こえる。スネアやバスドラムの音は水を含んだ綿のように、はち切れんばかりだ。
今まで、リンゴのドラムはいまひとつ迫力ののないもののように思われていたが、認識を改めさせられた。初期とちがって、スタジオで細工して作った『リボルバー』でも、リンゴのドラムはしっかりハンブルグ時代のまま、バンドしてるじゃないか。どんなに高尚になってもビートルズのレコードはバンドの演奏なんだなあ、とうれしくなった。
高いレコードなので曲順も覚えられそうだ。しかし、もうちょっと安いのをこれから探そう。
小遣いねえや。
(追記 『リボルバー』はUK/mono盤購入は断念。今はMONO BOXの『リヴォルバー』を聴く事で気持ちがおさまっています)