ELVIS COSTELLO
NORTH
2003年発売
輸入盤、Deutsche Grammophon
SACD Hybrid
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ポップスなのにクラシックでおなじみのグラモフォンレーベルからのリリース。
角の丸いプラケース。ブックレットには各曲のパーソネルと英語歌詞。よこにフランス語、ドイツ語、イスパニア語訳の歌詞も並記してある。これもクラシックのオペラブックレット風?。
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エルヴィス・コステロの、“しみじみ系”おやじヴォーカル
本作はかつてのパンク・ロッカー、エルヴィス・コステロのアルバムです。しかし、この作品にパンクやロックの雰囲気はなく、シャウト系もなし、これは“しみじみ系”ヴォーカル・アルバムです。
曲はどれもスローナンバー。バックの演奏はジャズ風です。メインはピアノとブラシのドラムス。時おり管楽器がソロをとり、ストリングスが空間を埋める。エレクトリック楽器、ギターは使用していない。
静かなバックに、コステロが穏やかな「おやじのヴォーカル」を聴かせます。ちょうどジャケット写真のように、秋からクリスマスにかけての季節感。
これって、コステロの奥さん、ダイアナ・クラールがヴォーカルだけ差し替えてもまったく違和感がない世界です。
繰り返し聴くと、ひとつひとつが「よいメロディの暖かい曲」
アルバムを最初に聴くと、同じような曲の印象を受けるのですが、そこはコステロ。メロディ、アレンジがやっぱりいい。
アルバムを繰り返し聴いていると、ひとつひとつが「よいメロディの暖かい曲」だと気づきます。
曲はどれもスローで、余韻を持って終わる。トータル45分44秒は、ちょうどいい長さでしょう。
ステレオ、マルチともヴォーカルの生々しさ
SACDステレオで聴いてみました。
中央にクッキリと位置するコステロのヴォーカルの存在感が大きい。ガッチリと厚みがあり、大きく、ナマナマしい。この音はSACDならではでしょう。
マルチチャンネルでは、ストリングスやピアノが、前方180度に位置。残響はリアまで円球形に広がります。
今回のリスニングは、センタースピーカーから音を出さず、両方のスピーカーからセンター音を出すAVアンプの「ダウンミックス」機能を使いましたが、ヴォーカルはSACDステレオと同じくらいクッキリと前方に位置しています。
マルチでは、伴奏が室内全域に広がった分、ヴォーカルの相対的な大きさは、SACDステレオに比べてスッキリとし、透明感がでている気がしました。
ボーナストラックですべてしめる。これも計画どおり?
アルバムはおだやかに終了するのですが、ボーナストラックの「Impatience」で、突如カリプソ風のカラフルな演奏になります。リズムが生まれ、ギターも少々入る。本編が秋、冬としたら、これは夏。でもこのコステロもカッコいい。
余計なボーナストラック? それともアルバム全体をまとめるコステロ風演出? 僕は後者だと思いました。
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2010.9.12
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