H.G.ウェルズの小説「宇宙戦争」の70年代音楽劇。
タイトルから、スピルバーグ監督「宇宙戦争」のサウンドトラックと思う人もいると思うが、このSACDはそれとは無関係。 H.G.ウェルズの小説「宇宙戦争」を題材にしたのは映画と同じだが、このSACDは1978年にジェフ・ウェインが作曲、製作した音楽版「宇宙戦争」である。 発売当時はLP2枚組。高い評価を受け、世界で1300万枚も売り上げたアルバムという。 そんなに売れたのですか! 残念ながらわたしは聴いたことがなかったので、今回の初めて聴きました。
ストーリーは小説と一緒である。火星人が突如、地球に攻めてくる話。それを「語り、音楽、語り、音楽…」で構成していく。もちろん語りのバックで音楽も流れていたりする。 話を展開していくジャーナリスト役はリチャード・バートン。 この人の声がゴチック風といいますか、エリザベス朝風といいますか、ホラー調といいますか…、聴いているだけでムード満点である。 音楽の作曲はジェフ・ウェイン。 SFなのでプログレ風の臭いもするが、どちらかというと16ビート、バスドラ、ズンズンのディスコ風がメイン。1978年という時代を考えるとうなずける。 そして参加ミュージシャン。 わたしが知っているのは、このアルバムのヒット曲「永遠の秋」を歌うジャスティン・ヘイワード。かのプログレバンド、ムーディーブルースのメンバーである。甘く哀しい歌声はここでも健在で、ムーディーブルース好きのわたしにはこたえられないトラック。 他には、デヴィッド・エセックス(砲兵役)、フィル・リノット(ナサニエル牧師役)、ジュリー・コヴィントン(べス役)らが参加している。
遠慮なしにサラウンドしています
マルチチャンネル化はジェフ・ウェイン自身がおこなっている。ぜひマルチチャンネルで聴いてほしいです。 クラシックやポップスのサラウンドでは「音楽の雰囲気を壊しちゃいけないように」と、どこか遠慮があるみたいですが、この『宇宙戦争』は遠慮なしにサラウンドしてくれます!(笑)。 効果音はこの手のアルバムにしては少ないほうですが、要所要所に入っています(鳥の鳴声など)。Track2「ホーセル公有地と熱線」で、火星人が着陸したカプセルから出てくるときの、石棺がひらくような音は360°移動して、サラウンド効果あり、です。 下に曲名を紹介しておきますので、ここでは雰囲気だけでも味わってください。最後に、登場する火星人の叫びを。 「ULLA!(ウゥ〜ラァ〜!)」
2005.8.12
Disk1 火星人来襲
1.戦争前夜 2.ホーセル公有地と熱線 3.砲兵と戦闘機械 4.永遠の秋(フォーエバー・オータム) 5.サンダー・チャイルド
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Disk2 火星人に支配された地球
1.赤い草(第1部) 2.人間の精神 3.赤い草(第2部) 4.砲兵の帰還 5.素晴らしい新世界 6.死のロンドン 7.エピローグ(第1部) 8.エピローグ(第2部)
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