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エマーソン・レイク&パーマー
トリロジー(DVD-Audio+2CD)

B00M8NMN3E
Emerson Lake & Palmer
Trilogy

Amazon


輸入盤、Sony UK

DVD-Audio
・MLP Lossless 5.1 & Stereo (24bit/96kHz)
・DTS 96/24 5.1
・Dolby Digital 5.1(48kHz)
・オリジナルミックス(MLP Lossless & LPCM (24bit/96kHz)
・映像はなし

CD1
オリジナルミックス

CD2
新ステレオミックス

ボーナストラック
・CD1 なし
・CD2に「From the beginnig(未発表バージョン)」
・DVD-A に「From the beginnig(未発表バージョン)」

ブックレット
英文ライナー。LPの見開きジャケットの写真。

 

1972年作のサードアルバム『トリロジー』

 エマーソン・レイク&パーマーといえば、現役時代、スタジオ作は『展覧会の絵』と『恐怖の頭脳改革』で済ましていた者には、DVD-Audioでのリリースが、他のアルバムを聴くいい機会になっております。

 ということで72年作品『トリロジー』も、〈デラックス・エディション〉のDVD-Audioで聴いてみました。まずは、サラウンドの「MLP Lossless 5.1」です。


CDが2枚にDVD-Audioの3枚組。
一番左にブックレットが挿入されているパッケージ。

サラウンドで聴く『トリロジー』

 冒頭の「永遠の謎 パート1」から、荒涼とした音空間。これはサラウンドならではの始まりです。
 しかしキース・エマーソンの生ピアノが聴かせる「フーガ」は、ピアノが左側(または左後ろ)に配置されるので、やや消化不良でした。SACDラボのリア・スピーカーがフロントと同じくらいのクオリティであれば、違った聴こえ方になったかもしれませんが。

 サラウンドは、2chの空間をキープしながら拡張するサラウンドというよりも、マルチチャンネル初期のように、楽器配置で広がりを出そうという方法のように見受けられましたが、効果的なところもある反面、難しいと感じてしまう所もありました。

 とはいえラストの「奈落のボレロ」は、サラウンドならでは空間になっていました。
 2chでは左に配置するしかなかった、例の小太鼓が、前方中央に配置されれることで左右対称になり落ち着きます。
 ラヴェルの「ボレロ」のように、ジワジワと盛り上がっていくところは、サラウンドの立体空間で活きていると思いました。


ディスクはアナログ・レコード風のピクチャー。溝まであるところがグッド。

オリジナルミックスのMLPに光るものが

 DVD-Audioには、サラウンドの他に新ステレオミックスとオリジナル・ステレオミックスも収録されています。
 新ステレオミックスは、サラウンドのミックスの製作の影響か、これまた楽器配置をまとめすぎてしまった感があります。

 その点、オリジナル・ステレオミックスは、 ファーと広げるのが上手いです。 72年頃は2chステレオも完成の域に入っていたので、ことさら左右のステレオ感を強調することなく、2本のスピーカーで綺麗に鳴らしてきます。
 「フーガ」の生ピアノは、左右からミックスされる大きな音像で鳴るし、「奈落のボレロ」はサラウンドと比べると、広がりこそないものの、冒頭の静寂感(ヒスノイズまでもあり)は、サラウンドよりも勝っています。
 意外にも、今回のDVD-Audioは、オリジナル・ミックスのMLP Losslessが聴き所かと思います。

バランスの良いアルバム

 まあオーディオ環境があれば、DVD-Audioでサラウンドから新ミックス、オリジナル・ミックスのどれもがMLP Losslessで聴けるのですから、お好みで聴こうと思います。
 EL&Pの三位一体の演奏は2chでガツンと聴きたいし、リラックスして音に浸りたいときは、サラウンドで聴くと思います。

 それよりもジャケットの絵のせいもあって、発売時は手をださなかった『トリロジー』を、今回聴いて、いいアルバムだと知ったことが大きいです。
 『タルカス』や『恐怖の頭脳改革』のように、大曲が入っていないので重心がバラけてバランスがいい。インスト曲から、グレグ・レイクのヴォーカル曲まで、まんべんなく聴けていくアルバムです。そしてコープランドの編曲「ホウダウン」はやっぱり素晴らしい。

B00M8NMN3E
Trilogy

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