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ベルナルド・ハイティンク指揮ロンドン交響楽団
ベートーヴェン:交響曲全集


Bernard Haitink
London Symphony Orchestra
Beethoven: Symphonies Nos. 1-9
Hybrid Stereo/Multi-ch
輸入盤、6枚組

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SACDが6枚入りで紙箱入り。

箱は正方形で、上品なもの。深さも2センチと、全集なのにスペースをとりません。

各ディスクは紙スリーブに入れられているが、その写真はバラ売りのジャケットと同じ(ページ下のバラ売り参照)。

英語のブックレットがつく。内容は標準的な曲目解説、演奏者解説。

プレーンゆえ、いつも聴けるベートーヴェン全集

 ベルナルド・ハイティンク指揮ロンドン交響楽団(LSO)のベートーヴェン交響曲全集です。ベートーヴェンの9つの交響曲と「レオノーレ序曲第2番」と「Triple Concerto」が入っています。なおバラ売りもあります。
 全曲の感想は書けませんので、一部の感想を書きます。

第3番「英雄」

 実をいうと、ハイティンクの「英雄」には期待していなかったのですが、これは良かったです。びっくりしました。
 この全集は第9番を先に聴いていて、「癖のない、でも聴きやすい演奏」という印象でした。だから、「英雄」もてっきりこの路線の、中庸なポジションかと予想したのです。
 しかし、この「英雄」は迫り来る白熱の演奏でした。第1楽章の冒頭から、「これは!」と思いました。そう、カラヤンの1回目録音の「英雄」、あの天馬空を行く白熱の演奏なんです。
 「英雄」は、巨匠指揮者の演奏でも、意外と好きになれる演奏が少ないのですが、ハイティンク盤は、文句なしで好きな演奏の仲間入りです。ハイティンク、あなどってはいけません。録音がいいだけに、この「英雄」を手に入れられたことはうれしかった。

第5番「運命」

 「運命」は、マルチチャンネルの伸びやかさのおかげで、大変気持ちよく聴ける演奏でした。演奏以上にオーディオ的に満足して、ずっと聴いていられました。
 この全集では、全般にティンパニが大きめ。時々、突出しているような気持ちさえおきます。しかし、オリジナル楽器の演奏を聴き慣れた耳には、これくらいのほうが、古典派音楽らしく(決してロマン派ではない)、好感が持てます。「運命」もそのティンパニが活躍します。

第6番「田園」

 「田園」は超名盤のワルターのSACDを持っていて、ずっとそのSACDを愛聴してきました。
 ハイティンク盤は、ワルターほど特徴がない演奏なのですが、これも「運命」と同じように、リスニングルームに広がるプレーンな「田園」に心がなごみます。
 第1楽章の雄大な広がりを聴いていると、ワルターの演奏で愛していた「田園」以外にも、素晴らしい「田園」があるのだと気づかされました。

第9番「合唱」

 第九で気に入ったのは第3楽章でした。第4楽章の独唱陣は、若干弱いような気がしましたが、「これもリアルだなあ」と感じる程度で、それほど気になりません。許容範囲です。完璧な歌い方だと人工的すぎるので、これくらいのがライヴ録音らしくて好きです。
 ハイティンクの第九は、あえて味付けのしない「プレーンな第九」の印象でした。
 といっても古楽器奏者の原典主義とも違います。おしつけがましい所がない。それでいて「第九を聴いたなあ。また聴いてみよう」という充実感に満足してしまいます。
 第九は、他にもヴァント、朝比奈隆、バーンスタイン、フルトヴェングラーのSACDを持っているのですが、このハイティンク盤を一番聴いてしまいます。

 以上書いたようにこの全集、マルチチャンネルでスムーズに広がる音場ですから、とても気持ちがいい時間がすごせるのですね。ハイティンク/LSOのベートーヴェン、長く付き合える演奏で、これもまた名演奏かもしれません。

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2009.3.19