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ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団 ベルリオーズ:「幻想交響曲」

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LSO Live
録音は2013年10月31日と11月14日。 ロンドン、バービカン・ホールでのライヴ。

動画は2013年11月13日のもの。

収録曲

ベルリオーズ:
・幻想交響曲
・序曲「ウェーヴァリー」

映像

「幻想交響曲」の全演奏を収録。音は2chのみ。音はハイレゾかは不明。
演奏者や楽器に寄り気味のアングルが多いため、大画面では見づらい。
音声が2chのみということもあるし、まあオマケと思ったほうがいい。

便利なBlu-ray Audioの操作

リモコンの赤ボタンで「5.1 DTS-HD MA」、黄色ボタンで「2.0 PCM」を選択できる。モニターが必要なくなるので便利な機能だ。

SACDとBlu-ray Audioの両方で聴ける異色のセット

 ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団でベルリオーズの「幻想交響曲」。本作は、SACDと合わせてBlu-ray Audioも付いているという、新しいスタイルです。

 SACDはこれまでどおり2chマルチチャンネルを収録。
 Blu-ray Audioには5.1 DTS-HD MA(24bit/192kHz)と2.0 PCM(24bit/192kHz)を収録しています。


左がSACD、右がBlu-ray Audioのディスク。

ベルリオーズのプログレ的な交響曲

 バーンスタインは「幻想交響曲」を「史上初のサイケデリックな交響曲」と言ったそうですが、僕なら「史上初のプログレ」と言いたいところです。

 実際、僕の場合「幻想交響曲」は、ブログレを聴くように、音楽の中を旅する感覚です。
 夢見心地のワルツもあれば、荒涼とした風景もあらわれる。サディスティックな音響もあれば、不気味な鐘の音も聞える。

 これが1830年に作曲された交響曲とはとても思えません。ベートーヴェンの第九から、たった6年後の作品なんです。まさに“プログレ”でしょう。

ゲルギエフは楽章が進むにつれ、盛り上げてきます

 そんな「幻想交響曲」を、ロシア音楽を振らせたら野生児のようなゲルギエフがどう料理するか楽しみだったのですが、演奏は意外とオーソドックスでした。
 第2楽章「舞踏会」は、ロマンチックな雰囲気が、ゲルギエフにしては薄い感じでした。ゲルギエフという指揮者は“異国情緒”で真価を発揮するのでしょうか、なんて思ったりもしました。

 でもやはり、それでゲルギエフは終わりません。
 第4楽章「断頭台への行進」、第5楽章「魔女の夜宴の夢」と進むにつれ、俄然盛り上がってきます。
 オーケストラ全体の音量も、第1楽章から第3楽章は控えめで、終楽章に進むにつれて増大しているようです。前半でボリュームを上げておいたら、最終楽章ではすごい音になりました。

 第5楽章「魔女の夜宴の夢」は、さすがにベルリオーズですので、ゲルギエフも野性的な処理はしませんが、それでも、かなり盛り上げてきました。
 本当のラストで、なだれ込むような盛り上がり。聴き終われば「ふむ」と納得するのでした。また最初から聴いてみよう、と。

楽器の肌触りが立つSACD、透明感のBlu-ray Audio

 SACDマルチチャンネルは、前方が豊かになる音。会場の残響を出すのではなく、オーケストラの奥行き感が豊かになるようなサラウンドだと思います。
 わりとオーケストラに近い音像なので、弦や管楽器など、それぞれの音色の肌触りが濃厚に感じ取れます。さらに重みと実体感も含んでいる感じ。ホルンの厚い音。クラリネットの甲高い叫びのような音など、テクスチャーが感じられます。

 一方、Blu-ray Audioは透視感がある澄んだ空間。
 これはこれで、いい音ですが、SACDの楽器音の肌触りを知ってしまうと、少々もの足りなく思えてしまいました。
 ロックのような、多重録音のパワフルな音楽ならいいでしょうが、アコースティックなオーケストラの音となると、やはりSACDのアナログ風味のほうがリアルに思えます。
 しかし、まあ、それはシステムのクオリティにもよるでしょう。みなさんもご自身のシステムで聴き比べるのが一興かと思います。

B00MW5FBR8
Sym Fantastique Waverley Overture

LSOのSACD+Blu-ray Audio
B00N3G3OSI Sym 3 Scottish / Hebrides Overture
ガーディナーの指揮するメンデルスゾーン、ピリスの弾くシューマンのピアノ協奏曲のカップリング
SACD+Blu-ray Audio
2014.11.13