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レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
マーラー:交響曲第2番〈復活〉

Hybrid Stereo/Multi-ch
録音1963年
国内盤、2枚組
ソニーミュージック
日本独自企画

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1枚物プラケースに2枚収録。ブックレットにはハーバート・ライトの解説日本語訳。

バーンスタイン、60年代録音のマーラーも素晴らしく

 バーンスタインがニューヨーク・フィル等と60年代に録音したマーラー全集も、SACDハイブリッド盤で発売されています。いずれもオリジナルの3chマスターテープからDSDマスタリング、5chのマルチチャンネルも収録されています。
 バーンスタインのマーラーは、この60年代に録音した全集と、80年代、グラモフォンに録音したマーラー全集があります。
 一般的に、60年代録音は若さが魅力、80年代の指揮者晩年の録音は精神性の深かさが魅力というイメージですが(そんなことありませんか?)、どっこい、この63年録音の交響曲第2番〈復活〉を聴くと、「若いバーンスタインもすごかった!」と思うことでしょう。80年代の演奏の様式をすでにやっています。

80年代録音と同質の表現力を、60年代にやっていた

 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、ここから遅い!「いちフレーズも逃さないネチッコさ」は“80年代のバーンスタイン”であります。
 第1楽章は初めて聴くとグロテスクな音楽ですが、何度も聴くと慣れるもので、交響曲第5番なみにエンターテインメントとして盛り上がりを提供してくれる曲です。ところがバーンスタインは、普通の指揮者のような、この曲らしい盛り上げ方をしません。かなり異質です。
 バーンスタインのほうが、最初の録音なのに、それ以後の他の指揮者のほうが「オーソドックスな盛り上がり」というのも不思議。バーンスタインのやり方は、バーンスタインにしかできないのか。続く第2楽章もかなり、ねちっこくいく。
 第3楽章からは、逆にかなりハイテンポで攻めてきます。これも他の指揮者の演奏と何かがちがう。
 第4楽章のソプラノの登場あたりから、個人的には、曲にダルイところを感じてしまいます(なにせ2枚組ですから)。でもバーンスタインは、ここから最終楽章まで一気に聞かせてくれます。
 全体を通じて、若さやエネルギッシュだけでなく、80年代録音と同質の表現力が、この第2番にも感じられました。
 「レコード史上初のマーラー全集」という賛辞だけではすませられない、画期的な演奏を、60年代にバーンスタインはやっていたのだなあ、とあらためて敬服しました。

SACDのすばらしさ、マルチチャンネルのすばらしさ

 SACD化にあたって、マルチチャンネルも制作されました。
 1963年録音ですから、「無理するなよ」と思っていましたが、聴いてみると、このマルチチャンネルのサラウンドは最高に成功しています。
 透明感のある広がりのある空間、バーンスタインの後ろのほうで聴いているような、きれいなホールトーンに包まれます。リスリングルームに広がる残響音も自然。「これが63年の録音か。レコード盤で聴いてきた、あの音か?」と息を飲むばかりです。
 こんな空間と音ですから、ソプラノやメゾ・ソプラノ、合唱の音は聴き惚れます。それから舞台袖の演奏効果も生きています。
 最終楽章のクライマックスは、マーラーの9つの交響曲の中でもいちばん恍惚に盛り上がる部分ですが、普通以上に涙腺が緩んでしまいました。
 とにかく昔の録音が(60年代初めの録音ですよ)、こんな音になって聴けるSACDにはあらためて敬服いたしました。

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2009.2.16