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セミヨン・ビシュコフ指揮 WDR交響楽団 
ブラームス:交響曲全集

SEMYON BYCHKOV
WDR SINFONIE-ORCHESTER KOLN
BRAHMS THE 4 SYMPHONIES

(輸入盤、AVIE、SACD3枚組)

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交響曲第1番ハ短調 op.68
 2002年8月19~24日
交響曲第2番ニ長調 op.73
 2004年4月5~8日
交響曲第3番ヘ長調 op.90
 2002年5月13~17日
交響曲第4番ホ短調 op.98
 2003年10月20~24日
録音:ケルン、フィルハーモニー

このSACD、全集に付きものの「大学祝典序曲」や「ハイドンの主題による…」などの小品はいっさい入っていない。交響曲のみです。これはこれでスッキリしていていいのですが。

ブル/マラもいいが、ブラームスの渋さを愛します

 最近の新譜はブルックナー、マーラーの交響曲がやたら多く、「またですか…」と少々困っているところもあります。
 昔はベートーヴェンのつぎに、ブラームスの交響曲が人気があったと思うのですが、完全にブル/マラに追い抜かれた感があります。まあ、ベートーヴェンでさえブル/マラに押されっぱなしですから、いたしかたないでしょう。
 僕の場合、好きな交響曲はベートーヴェンは別格として、2番手はブラームスかなあ。ブル/マラ/シベが、そのあと3番手になるのですけれども(シベとはシベリウス)。
 ブラームスの交響曲は、ブルックナーほど敬けんで天上的ではないけれど、マーラーほど色彩的でスペクタクルではないけれど、なんか“我が身”にシブく染み入る交響曲だと思うんですよね。そこには(独り身の)男の枯れた心境も伺われて、その渋さを愛してしまいます。
 時に「職人的」と揶揄されるブラームスですが、シェーンベルクは「進歩的」と評価していました。交響曲第4番を分析すると、未来を先取りしていた作曲法になっているとのこと(新潮文庫『ブラームス』三宅幸夫著「新しい道」より)。
 たしかにブラームスの音楽は“渋さ”以上の何かがあるような気がします。そこも魅かれる理由でしょうね。

SACDマルチチャンネルで。ブラームスのゴリゴリとした弦を、立体的に堪能する

 そんなブラームスの交響曲全集のSACDを聴いてみました。演奏はセミヨン・ビショコフ指揮WDR交響楽団(かつてのケルン放送交響楽団)です。
 例によってマルチチャンネルによるリスニング。
 ホールトーンをふくんだ音は大変すばらしく、前方のオーケストラ、特に弦セクションが立体的に前にせり出してくる感じが印象的。
 ブラームスの交響曲だからこそ、この鳴り方は快感でした。ブルックナーほど厚みがなく、マーラーほど仕掛けがないけれど、マルチチャンネルの“染み入る度”では意外にもブラームスに軍配を上げてしまいそうです。
 演奏も僕としてはこのSACDでとても満足でした。僕の持っているワルターやバーンスタイン盤となんの遜色もなし。音が段違いでリアルな分、これからはビショコフ盤を聴くことになるでしょう。このSACDでブラームスの交響曲を堪能できるわけで、うれしくなりました。
 それにしても、このビショコフといい、最近SACDで未知のすぐれた演奏者に触れることも多くなりました。

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2007.3.11