ブルックナーはとっつきにくいけど、好きになるとハマる
ブルックナーはツボにハマると、バッハ、ベートーヴェン並にかけがえのない作曲家になると思います。
僕のなかではブルックナーはゴッホに通じますね。
「なんで、こういう曲をつくり続けたのか?」
ブルックナーの交響曲は、祈りにもにて、自分自身の為にひたすら作ったような曲に思えます。
なので、よく言えば深遠であり、普通に言えば自己宇宙の世界であり、悪く言えば、わけがわからん、であります(笑)
ブルックナーの交響曲に比べれば、分裂的なマーラーの交響曲さえ、わかりやすいポップチューンに思えてしまいます。
でも、それがツボにハマると、最初に書いたように素晴らしい音楽になるわけですね。
ブルックナーの混沌とした響きが好きになりそうな
さて、交響曲第4番「ロマンチック」は、ブルックナーの交響曲のなかでは一番親しみやすい曲ですね。指揮はオランダの新鋭ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン。もとロイヤル・コンセルトヘボウのコンサート・マスターだった人みたいです。
スヴェーデンとオランダ放送フィルの演奏はけっこう良く、それをさらに魅力的にしてくれるのが録音です。5chのサラウンドで聴きましたが、オーケストラは近目でも遠目でもなくちょうど良い大きさで目の前に広がります。
弦のしらべはシルクのようで、中域の音のよさがたっぷりと味わえました〈中域~低域の弦の音フェチにはたまりません)。木管の響きもやわらかい。
ブルックナーの管弦楽法は、トゥッティでオーケストラ全体がオルガンのように混沌と鳴り響くところが多いですが、この音のまざりこそがブルックナー。そこがとても透明に響きます。
SACDは昔のアナログ録音の音源もいいですが、「やっぱ最新のDSDレコーディングの音はいいわ!」と思ってしまいました。
好きになると至福になるブルックナーですが、それをさらに至福の響きで聴かせてくれるSACDでした。
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2006.10.1
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