フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 |
録音1942年3月22-24日 ティラ・ブリーム(Soprano) 録音は当時のラジオ放送用に録られたものだそうです。フルトヴェングラーをめぐる当時のドイツ国内事情、録音機材などは、ライナーノートに詳しく書いてあります。 |
思想家丸山真男は、フルトヴェングラーの戦時中のライヴを、「緊張感のある演奏」と高く評価していた。一方、戦後のLP(スタジオ録音)は「ゆですぎたうどん」とさえ言い切っている。 戦時下のフルトヴェングラー 第二次大戦中、フルトヴェングラーとベルリン・フィルの演奏は、ナチスによりラジオ放送用に録音されていた。録音に使われたのは当時最先端のマグネトフォン磁気テープで、60デシベルで20分録音できる画期的なものだったらしい。 オリジナルのメロディアのLPから復刻さて、このSACDは、そのオリジナル・メロディアのLPから直接音を録り、SACD/CDハイブリッドにしてある。いわば「盤起こし」である。1942年録音ゆえ、本家のオリジナル・テープは劣化でボロボロだろうと思われる。なので当時の雰囲気を一番伝えているのがメロディアのLPと言われている。 LPから起こしたのなら、まず音質が気になるところだが、フルトヴェングラーの録音として、クオリティは十分なのでご心配なく。 この音源はCD化されていると思うが、わたしは持っていないので、フルトヴェングラーの有名なバイロイトの第九のCD(ARTリマスター盤)と比べてみた。SACDは42年、バイロイトは51年の録音である。録音時代や環境がちがうため、両者比較はフェアでないが参考までに。 オーディオ的に聴いた第一印象は、ほとんど同じ感じ。モノラルで「ああ、古い録音だなあ」と思うが、すぐに慣れて、演奏に引き込まれる。 戦時中のライヴ演奏の緊張感 気楽にライヴ録音と書いたけど、戦時中である。ナチスの宣伝材料として、あやつられたようなフルトヴェングラー。自分たちの運命もどうなるかわからないベルリン・フィル。ベートーヴェンの音楽は、そんな状況でも、あたたかく、やさしく響くのである(第三楽章)。 Amazonベートーヴェン:交響曲第4番/第5番《運命》 2005.2.17 |