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パーヴォ・ヤルヴィ指揮シンシナティ交響楽団
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」/幻想序曲「ロメオとジュリエット」

Hybrid Stereo/Multi-ch DSD Recording
録音2007年
輸入盤、TELARC

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普通のプラケース。

シェイクスピアの戯曲による幻想序曲『ロメオとジュリエット』
が、最初のトラックに入っています。
これは20分ちょっと。トータル67分ちょっとの収録。

長年連れ添った連れ合い、のような交響曲

 チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」は、若いクラシック初心者には感動の名曲でしょう。
 「素敵だなあ!」と、ポップスにも負けないほど親しみやすく、カッコいいメロディーにのめり込む。
 しかし長年連れ添っていくうちに、この交響曲も「バッハやベートーヴェンに比べて“深み”がないな」と見切ったりする。
 でそのあと、「でも、やっぱりいい曲だよ。ずっとお付き合いしたい」と、あらためて聴きだすのである。
 なんか男と女の一生みたいですが、これが個人的な「悲愴」との関係だ。
「悲愴」は聴いていて疲れない交響曲だと思う。ブルックナーやマーラーのほうが、聴いているこちらは“悲愴”だったりする。チャイコフスキーの才能はあなどれません。

「そのシンバル、いいねえ!」のDSD録音

 これは最近、ベートーヴェンでも大活躍のパーヴォ・ヤルヴィの「悲愴」です。高音質のTELARCレーベルですので“お約束の”DSDレコーディングです。
 もう長い間聴いてくると「悲愴」の演奏も色々あるので、演奏について書くのも省かせていただきます(てゆうか、正直どれがいいか分からないし、どれもいいような気もする)。
 それより、このSACDで気に入ったのは録音でした。
 マルチチャンネルで聴きましたが、さすがに最新のDSD録音だけあって、オーケストラが扇状に広がり、その「スカー」と抜けた感じがたまりません。
 個人的に一番好きなところは第3楽章だ。
 行進曲風に盛り上がる「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」。その頂点でシンバルが5、6発鳴るのだが、その音が奥のほうで鳴るのがいかにもマルチチャンネルらしい。「お、そこから鳴りますか、いいねえ」。
 さらに、シャァァァァーンと鳴った残響が、微粒子のようにリスニングルームに消えていく感じがすごく好きだ。
 もちろん他の音もいい。このSACDで、新しい「悲愴」との付き合い方ができそうです。

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2008.4.5