すごい、クーベリックならではの牽引力がグレイト!
交響曲を聴いていると考えることがある。
すなわち、テンポについて。
交響曲は遅めの演奏がいいか? 速めの演奏がいいか?
晩年のバーンスタイン、チェリビダッケの演奏ときたら、とてつもなく遅い。こちらの常識をこえて遅い。
が、遅いと、すごく思索的に思える。円熟した演奏のように思える。
一方テンポが速いと、落ち着かなく思える。思慮がない演奏のように思える。
どうやら交響曲はテンポが遅いほうが、芸術的にすごそうだ。
なんて、僕は思ってた。
ところが「それはちがうゾ!」と心から思い知らされた。
このクーベリックの指揮する「グレイト」を聴いてください。ぐいぐい、いきます!
シューベルトの交響曲「グレイト」は、その昔“天上的な退屈さ”などと揶揄されたこともあったが、クーベリックの演奏では、精気あふれる白熱の曲に様変わりしています。
これを速いテンポ、と書きたいが、ちがう。
牽引力でしょう、やはり。超人的な牽引力に引っ張られた、この演奏はすごいわ。
指揮者の仕事として、芸術的な表現がこれほど提示された演奏もめったにない。「クーベリックはライヴがすごい」と聞いていましたが、まさしくこのSACDで、僕もそれをひしひしと感じました。クーベリックの指揮にも「グレイト!」と言ってしまいます。
リマスター・バージョンとオリジナル・バージョンを聴き比べられるSACD
このディスク、CD層とSACDステレオ層には、リマスターされた音が入っている。
そしてマルチチャンネル層には、サラウンド音ではなく、オリジナル・バージョンのステレオ音源が入っている(プレーヤーの表示もステレオのまま。信号が2CHしか出ていないことがわかる)。
つまり、リマスター・バージョンとオリジナル・バージョンを聴き比べることができるのである。
興味ある人は聴き比べると面白いだろう。僕の感じではリマスターのほうが弦がやわらかくなっている感じがしたが。
この演奏のまえに音もへったくれもないが、面白い収録方法だと思います。
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HMV
AmazonMahler: Symphony No. 8 [Hybrid SACD]
AmazonBruckner: Symphony No. 3 in D minor [Hybrid SACD]
2006.2.22
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