topaboutblogclassicaljazzpopsjpopselect
S

ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団
シューベルト:交響曲第9(8)番「グレイト」、交響曲第3番


(マルチ層にも2ch収録)
ライヴ録音:NO.8 1969年、No.3 1977年
Audite

Amazon
HMV

マルチチャンネル層にはオリジナルの2ch音源を収録。信号も2chのみ。正確にはマルチチャンネル層とは言わないかもしれないね。

クーベリック/バイエルン放送交響楽団のライヴ音源は、いくつかこのシリーズでSACD化されている(ブルックナーの3番など)、クーベリックの白熱の演奏を聴きたい方はぜひ聴いてみてください。

「グレイト」は9番と8番の両方で表記されることが多いが、この輸入盤のジャケットでは8番(Symphony No.8)のみの表記です。

すごい、クーベリックならではの牽引力がグレイト!

 交響曲を聴いていると考えることがある。
 すなわち、テンポについて。
 交響曲は遅めの演奏がいいか? 速めの演奏がいいか?

 晩年のバーンスタイン、チェリビダッケの演奏ときたら、とてつもなく遅い。こちらの常識をこえて遅い。
 が、遅いと、すごく思索的に思える。円熟した演奏のように思える。
 一方テンポが速いと、落ち着かなく思える。思慮がない演奏のように思える。
 どうやら交響曲はテンポが遅いほうが、芸術的にすごそうだ。
 なんて、僕は思ってた。
 ところが「それはちがうゾ!」と心から思い知らされた。
 このクーベリックの指揮する「グレイト」を聴いてください。ぐいぐい、いきます!
 シューベルトの交響曲「グレイト」は、その昔“天上的な退屈さ”などと揶揄されたこともあったが、クーベリックの演奏では、精気あふれる白熱の曲に様変わりしています。
 これを速いテンポ、と書きたいが、ちがう。
 牽引力でしょう、やはり。超人的な牽引力に引っ張られた、この演奏はすごいわ。
 指揮者の仕事として、芸術的な表現がこれほど提示された演奏もめったにない。「クーベリックはライヴがすごい」と聞いていましたが、まさしくこのSACDで、僕もそれをひしひしと感じました。クーベリックの指揮にも「グレイト!」と言ってしまいます。

リマスター・バージョンとオリジナル・バージョンを聴き比べられるSACD

 このディスク、CD層とSACDステレオ層には、リマスターされた音が入っている。
 そしてマルチチャンネル層には、サラウンド音ではなく、オリジナル・バージョンのステレオ音源が入っている(プレーヤーの表示もステレオのまま。信号が2CHしか出ていないことがわかる)。
 つまり、リマスター・バージョンとオリジナル・バージョンを聴き比べることができるのである。
 興味ある人は聴き比べると面白いだろう。僕の感じではリマスターのほうが弦がやわらかくなっている感じがしたが。
 この演奏のまえに音もへったくれもないが、面白い収録方法だと思います。

Amazon
HMV

AmazonMahler: Symphony No. 8 [Hybrid SACD]
AmazonBruckner: Symphony No. 3 in D minor [Hybrid SACD]

2006.2.22