Mozart :
The Complete Youth Symphonies
Sir Neville Marriner
Academy of St Martin in the Fields
▶Tower Records
Amazon
録音1972年〜1973年
輸入盤、Pentatone
SACDハイブリッド 4枚組
PentatoneのSACDは、帯が「青グレー」のものは、70年代フィリップス音源のSACD化。マルチチャンネルには、当時の4チャンネル録音を収録していることが多い。
パッケージは4つ折のデジパック仕様。開いていくと、どんどん横に長くなっていく(笑)。最後の部分にブックレットが貼付けられている。
ブックレットには、英独仏語の解説文。写真はなし。
もともと、バラ売りで各ディスクが先行発売されていたもの。
収録曲はそのディスクどおりで、番号順というわけではない。
バラ売りでは1枚だけ買ってもしょうがないと、見送りしていたが、今回のセット発売で、決断がついた次第。
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マリナーによるモーツァルト初期交響曲集、当時の4チャンネル録音も収録
本作はモーツァルトの初期交響曲を収録したSACD4枚組です。もともとバラ売りされていたものを集めてセットになりました。
演奏は、ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団(Academy of St Martin in the Fields)。
70年代、モーツァルトの交響曲のレコードと言えば、後期ならベーム盤、初期ならこのマリナー盤というのが定番でした。
レコーディングは彼らが全盛期の1972年〜1973年。
当時、大流行した4チャンネル録音(Quadro Recording)です。それがリマスターされ、マルチチャンネルに収録されています。もちろんSACDには2chステレオも収録。
4チャンネル録音は、現代のそれと遜色ないサラウンド
最初にマルチチャンネルについて書きますと、前方から広がる綺麗なオーケストラ・サウンドになります。
ホールトーンというよりも、響きを豊かに(リアルに)するサラウンド。
いくらリマスターされているとはいえ、当時の4チャンネル録音が、本当は素晴らしいものだったと、知らされます。
現代のサラウンド音と遜色ない滑らかな空間です。
我々のオーディオ世代は、「4チャンネルの失敗」というトラウマを、40年くらい背負い続けてきましたが、もうお墓の中まで持っていかなくてよくなりました(笑)。
SACDなら、モダン・オケの音質に舌鼓
2ch、サラウンドとも、音質はモダン・オーケストラのコクのある弦の音を堪能できます。
アカデミー室内管弦楽団は、LP時代から、「マイルドなオーディオ音」だと思っていました。
人数の少ない室内オーケストラだから?
それとも、このオケ特有のもの?
その秘密は分かりませんが、そんなマイルドさが、SACDにピッタリでした。
モーツァルトの交響曲は「古楽器でオリジナルの美しさを味わえる」と思っている僕ですが、このSACDの前では「モダン・オケでもOK」と満足。オーディオ音が、すべて許してくれるわけです。
溌剌としたモーツァルト初期の交響曲
最後になりましたが、モーツァルトの初期交響曲について。
そもそもモーツァルトの時代、交響曲は、現代のように独立してメインで演奏される音楽ではなかったそうです。
シンフォニーという概念もあいまいで、セレナードと同じだったり、行進曲や舞曲、オペラの前奏曲でさえ「シンフォニー」であったとか。
本作にも歌劇『偽りの女庭師』の序曲として使われているK.196を収録。「シンフォニーって、こうやって使い回ししていたのか」と知ることができます。
チェンバロが通奏低音で加わっているのも、この時代の交響曲ならではです。
そんなモーツァルトのシンフォニーですので、ベートーヴェンやブラームスのように、精神性や構築性で聴かないことが肝心です。
それよりもセレナードのように、軽快でノリのいい音楽として聴くと楽しめます。もちろんモーツァルトらしい、神がかり的な瞬間はあります。
SACDのタイトルは「Complete」とありますが、第1番K.16が収録されていないので、あれ?と思いますが(マリナーは録音しているハズ)、細かいことは抜きで、トータル3時間59分49秒、若きモーツァルトの交響曲と当時の4チャンネル録音を楽しめるSACDです。
もちろん2chステレオで聴いても、演奏と音質に満足すると思います。
▶Tower Records
Amazon
バラ売りのSACD
2012.8.9
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