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小澤征爾指揮/水戸室内管弦楽団
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」第38番「プラハ」他

森麻季(ソプラノ)
モーツァルト:
交響曲第36番「リンツ」
交響曲第38番「プラハ」
モテット「エクスルターテ・イウビラーテ」

2003~5年ライヴ録音

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交響曲だけ5.0chマルチチャンネルも収録。
(国内盤、ソニー・ミュージック・ジャパン・インターナショナル)

小澤征爾のモーツァルトシリーズ第2弾

 小澤征爾が水戸室内管弦楽団を振ったモーツァルトシリーズの2枚目です。前回は交響曲第40番、今回は「リンツ」と「プラハ」の組み合わせです。あと森麻季のソプラノで、モーツァルトが若い頃書いた、有名なモテットも入っています。

 モーツァルトの交響曲は、のちのロマン派のそれと比べると、小規模だし、聴衆に訴えかける自己主張もそんなに強くないです。
 交響曲が作曲家のメインになるのは、ベートーヴェン以降で、モーツァルトの時代はオペラが一番作曲家の名誉となっていたそうですから。
 でも、もちろんモーツァルトですから、交響曲もやっぱりいいんです。“交響曲”と日本語で言うより“シンフォニー”と言ったほうがふさわしいような、モーツァルト独特の交響曲であります。

 特にウィーン時代の、36番「リンツ」から41番「ジュピター」は、聴けば聴くほど「深いなあ」と思ってしまいます。サウンド的には、ベートーヴェンやマーラーなどと比べると、木管も金管も少なくて、素朴な音なんだけど、これが深い。
 モーツァルトの交響曲は何十年も聴いているのに、今だ未知な部分が多い。聴くたびに「あれ、まだ入り口に入っていなかったのか」と、驚かされることがあります。そのたびに、自分が揺れてしまう。たとえると森の妖精にはぐらかされている感じかな。

 そんなモーツァルトの交響曲ですが、今回、小澤征爾/水戸室内管弦楽団の演奏を聴いている間、自分なりのモーツァルトの交響曲を、しっかりとらえることができたのがうれしかった。
 優雅なモーツァルトは、よく聴くことが多いのですが、小澤征爾さんの指揮は、無我の境地のようで、モーツァルトをストレートに届けてくれる演奏のように思いました。なので聴いているこちらに揺れがない。
 今後のシリーズが楽しみです。それにしても、これらの演奏を定期公演で聴ける水戸の人ってうらやましいなあ。

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2007.8.5