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ドミトリー・キタエンコ指揮ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番

ディスク
Domitri shostakovich
Symphony No.8

Dmitrij Ktajenko
Gürzenich-Orchester Köln


録音2003年ケルン、ライヴ録音
輸入盤、Capriccio

Amazon

角の丸いプラケースが、紙箱に入っている。ブックレットには独、仏、英語のライナー。

ジャケットの写真部分をアップにしたピクチャーディスク。

「ソ連のショスタコ」を聴いているような錯覚

 レニングラード生まれの指揮者ドミトリー・キタエンコが完成させたSACDによるショスタコーヴィッチ交響曲全集のなかの1枚。この交響曲第8番はバラ売りされていたものです。
 この演奏、すごく「ソ連のムード」を感じます。オーケストラはドイツ(ケルン)のオーケストラなのに不思議。ジャケット写真の印象が強いせいもあるでしょうが(気に入っています)、それだけではないと思います。
 キタエンコの指揮がそうさせているのでしょう。「ソ連のショスタコーヴィッチ」を聴いているような錯覚に陥ります。この響きでショスタコーヴィッチの交響曲を聴くのは最高です。

 マルチチャンネルは暗闇の客席から、明るいステージに相対しているような気分

 SACDマルチチャンネルは本当にライヴ風です。といってもホールトーンで、肉体的にライヴ風になっているのとは少し違います。
 普通のスタジオ録音のような明晰さがありながら、ライヴ感があるのです。そのライヴ感も、「オーディオ的」なライヴ感以上に「精神的」なライヴ感。
 目を閉じて聴くと、あたかも自分が暗闇の客席にいて、明るいステージに相対しているような気分なのです。
 もちろん、小太鼓のダイナミックなロールでは、リスニングルーム全体に、さざ波のような残響が流れ、オーディオ的にもマルチと実感します。

 ひっきょう、交響曲のSACDマルチチャンネルでは、このディスクの鳴り方が、個人的には理想とするところでした。
 シートに座って聴いているような安住感(ライヴ感)のなかで、オーケストラの個々のサウンドに耳をかたむける楽しさ。そこに流れる音楽が「ソ連のショスタコ」なのですから、スリルと即物性、そして謎めいた深みに浸る時間が過ごせました。
 全部がバラ売りになっているわけではないので、できれば全集でそろえたいSACDです。

Amazon

キタエンコのショスタコーヴィッチ交響曲全集SACD
Symphonies Die Symphonien (Hybr)
キタエンコの全集。同一ですが、Amazonには2つアップされています。全集は単純にプラケースを、束ねたものなので、立方体に近い大きさです
2010.10.21