Tchaikovsky:Symphony No.1
"Winter Reveries"
Zdeněk Mǎcal
Czech Philharmonic Orchestra
録音2005年8月、
プラハ、ドヴォルザーク・ホール(セッション&ライヴ)
国内盤、EXTON
SACD Hybrid
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普通のプラケースにブックレット。荻谷由喜子氏のライナー「マーツァルのこんにちまでと〈冬の日の幻想〉」。吉井亜彦氏の曲解説。
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作曲家の若き日の交響曲、メロディーメイカーの才ここにも
チャイコフスキーの交響曲は第4番以降の3曲があまりに有名です。しかし、26歳の時に作曲された第1番〈冬の日の幻想〉も、3大交響曲のように普遍的とまではいきませんが、チャイコフスキーの交響曲の魅力に溢れています。
第1楽章から、退屈なところが少しもありません。第2楽章のロシア的な哀愁漂うメロディ(まるでドヴォルザークの〈新世界〉第2楽章のよう)、第3楽章の作曲家得意のワルツ、そして第4楽章の劇的な構成力と、交響曲第1番もメロディーメイカーとしての才能を感じます。
マーツァルがチェコ・フィルを振っての演奏が、この曲にピッタリあっています。この交響曲で使われるロシアの民謡が、ボヘミアの雰囲気と乗算され、えも言えぬ効果を出している気がします。
チェコ・フィルの“体臭”までパッケージングされたような音
マルチチャンネルで聴きました。
このSACDには「チェコ・フィルの音」がすごく感じられました。空間がよく出ているせいでしょうか、変な言い方ですが、チェコ・フィルの“体臭”が、真空パッケージされてるような感じです。
エクストンの録音は、近距離でオーケストラを聴く感じです。チェロが前面に出る箇所で、ややそれを感じますが、全体的には気になりません。むしろ、湿り気のないクリアな空間のなかに、硬質ですが微粒子な音が浮かび上がり、スカッと気持ちのいい録音。
いちばんの聴き所はトゥッティで、これは距離感もバッチリ。オーケストラのブレンドされた音は、残響音をともなって極上の響きです。
もちろん各楽器が裸になるところもいい音。ソロよし、トゥッティよしの高音質で、チャイコフスキーの隠れた名曲を聴いてみてください。
収録時間が40分55秒と短いのもいい。音楽に集中したあと、気持ちよくディスクを取り出せます。
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マーツァル&チェコ・フィルのチャイコフスキーSACD
2010.9.3
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