続々と魅力盤をリリースするLIVE、自主制作SACD
これは、ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセントヘボウ管弦楽団の、ショスタコーヴィチ作曲、交響曲第7番《レニングラード》です。
LIVEレーベルといいますか、ヤンソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウの自主制作SACDは、積極的にリリースをしています。どれも、ロイヤル・コンセルトヘボウの音を堪能できる魅力盤ですね。
この演奏は、ショスタコーヴィチ生誕100年を記念して、2007年1月におこなわれたライヴ録音。
ショスタコーヴィチの交響曲は何といっても第5番「革命」が有名ですが、この第7番「レニングラード」もいいです。第5番でショスタコーヴィチ入門をしたら第7番もぜひ聴いてください。
変なたとえですが、第5番が「銭湯の湯」としたら、第7番は「温泉の湯」というくらい、より広大で深いショスタコの世界が待っています。
第二次大戦、戦火の中の作曲
簡単にこの交響曲のことを書いておきますと、1941年作曲、大戦中ドイツ軍に包囲されたレニングラードで作曲がすすめられました。初演もそんな中で行われた。
で、すぐにマイクロフィルムに写されたスコアをアメリカに送って、トスカニーニがアメリカ初演をした、というエピソードは有名ですね。いわゆるショスタコーヴィチの「戦争交響曲」のなかの1曲です。
ショスタコーヴィチの、この曲への思いは何か? ソヴィエト人民への思いは当然として、ドイツ軍への抵抗にかぶせて、スターリズムへの批判も暗に入っているのか?
考えるところはたくさんですが、とりあえず戦争のイメージからはなれて、純音楽として聴いても十分グッとくる曲です。
まるでコンセルトヘボウに行ったような気分で
毎度、名門ロイヤル・コンセルトヘボウの音は、青磁器のような繊細さ。特に弦は、聴いていて気持ちがいい。
録音もすごく良い。ダイナミックレンジは、ムチャクチャありまして、第1楽章の有名な〈ファシズムのテーマ〉、ちょっとノー天気なメロディーだが、スネアによる最弱音から、トゥッティの最強音まですさまじい。
マルチチャンネルのサラウンドは、オーケストラに近すぎず、遠すぎずの位置。特等席で聴いている感じです、サラウンドで聴く最終楽章の大円団の盛り上がりは、お部屋を質量的なヴォリュームで満たしてくれるので、すごく「フォルテッシモ!」という感じが再現されます。
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2008.1.7
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