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ピエール・ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック
バルトーク:管弦楽のための協奏曲、中国の不思議な役人

バルトーク:
管弦楽のための協奏曲
中国の不思議な役人
Stereo/Multi-ch
国内盤、ソニークラシカル
録音72年と71年。

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普通のプラケースにブックレット。ブックレットの裏表紙は「中国の不思議な役人」のLPジャケット画になっている。

このSACDのリリース当時(02年)と違って、現在はマルチチャンネルに、往年の4チャンネルを収録するSACDも多いので、いずれ出してもらいたいものだ。

ブーレーズ、4チャンネル時代の名盤のSACD

 「管弦楽のための協奏曲」は、ジャケットをご覧になるとわかるように、70年代、SQ4チャンネルレコードとして発売されたもの。4チャンネルレコードの代表盤として記憶しておられる方も多いと思う。
 実際4チャンネルで聴いたことはないのですが、当時の評判やレコードジャケットから、ワクワクさせてくれたレコードです。

 しかし、このSACDのマルチチャンネルは、4チャンネル音源ではないと思われる。往年のファンは気をつけてほしい。
 マルチチャンネルに収められているのは、最近のクラシックのそれと同じく、2チャンネルの響きをさらに豊かにするような、前方中心のマルチチャンネルである。ジャケット画のように、後ろからホルンやトランペットは出てこない。
 どう考えてもこれは4チャンネル音源ではないだろう。ブックレット、帯とも4チャンネルにはいっさい言及していないので、これは4チャンネルとは別物と考えるべきだろう。
 それでも「収録されているマルチチャンネルも良かった」と書いておきたい。オーケストラが広がって聴きやすい。特に第2楽章「対の遊び」の冒頭は、ホール風な響きになり、いい感じだ。

ブーレーズの「オケコン」「役人」は不滅でしょう

 アナログLPを知っている世代として、マルチチャンネルのことを先に書いたが、肝心の演奏は、誰にも文句のないところだろう。たとえ4チャンネルでなくても、この演奏の価値はいささかも曇らない。
 自分の場合、「管弦楽のための協奏曲」(略してオケコン)の演奏の刷り込みは、このレコードだった。ブーレーズの分析的演奏が、素朴にトンがっていたこの頃の演奏がやはり好きだ。
 同時収録の「中国の不思議な役人」も、ブーレーズ盤で洗礼をうけた口である。ひっきょう、この2曲は、このブーレーズ盤でないと「コクがたらねえ!」と思ってしまうほど。まあ、個人的な思い込みかもしれないが、それくらい70年代の有名レコードですね。
 なお「中国の不思議な役人」は別のLPで出ていたものである。「オケコン」と「役人」が1枚に入っているのだから、おトクなSACDでもある。SACD専用ディスクです。

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2008.3.28