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ピエール・ブーレーズ指揮クリーブランド管弦楽団
ストラヴィンスキー:バレエ音楽〈春の祭典〉

ディスク
PIERRE BOULEZ
STRAVINSKY:LE SACRE DU PRINTEMPS


録音1969年
国内盤、ソニーミュージック
SACD専用ディスク

Amazon

ソニーミュージック初期のSACDのパッケージ。正方形のデジパック仕様。4つ折の簡単な日本語解説。

〈春の祭典〉の革新的録音のSACD

 本SACDは現代音楽の巨匠ピエール・ブーレーズが、1969年、アンサンブルにたけたクリーブランド管弦楽団を指揮した演奏です。オリジナルのLPは、当時大変に話題になり、現在までクラシックファンなら誰もが知っている名盤です。
 この〈春の祭典〉のなにが革新的か。それは一言でいうと「分析的」ということでしょう。
 それまでの〈春の祭典〉はバーバリズムの音楽として演奏されていたのですが、このブーレーズ盤では、リズム構造をきっちりと演奏し聴かせ、以後の〈春の祭典〉の演奏に影響を与えました。
 僕にとっても、いまだにこのブーレーズ盤と作曲家自身の録音した自作自演盤が〈春の祭典〉の2枚原点です(きしくもどちらもSACD化されています)。

〈春の祭典〉の分析的演奏は、すごくエモーショナル

 さて、ブーレーズ盤。
 実際に聴いてみると、評判どおり、バシッと〈春の祭典〉のリズム構造がみえて分析的であります。
 一般に、分析的というと「頭でっかちで、感情がない」みたいな演奏を想像されるでしょうが、この演奏はまったく逆ですね。
 ストラヴィンスキーの書いた複雑なリズムが、頑強かつクールに、これでもかこれでもか、と精緻に積み重なっていくさまは、すごくエモーショナルなんです。
 それゆえ〈春の祭典〉のなかでも、静かな部分の“運び”に興奮してしまいます。ふつう〈春の祭典〉は、第2部の前半など、静かな部分は退屈に感じることが多いですが、このブーレーズ盤は、そここそが聴き所ですね。
 とにかく、へたに大騒ぎする〈春の祭典〉よりは、断然、迫力があり、ガツンとくる演奏。いまだに名盤の伝説は健在です。

オーケストラを間近で聴くような音場は、2チャンネルらしくスピーカーが鳴る

 オーディオ的には2チャンネルステレオの、わりと乾いた音場です。マルチチャンネルの臨場感溢れる、豊穣な響きを聴き慣れているせいか、特にそうを感じるのですが、先に書いたような演奏を聴くためには、この鳴り方が最高なんですね。
 音場はオーケストラの演奏を間近で聴く(見る)ような感じです。それこそ「スピーカーが鳴ってるな」という感じなので、お気に入りのスピーカーでオーディオ的醍醐味を味わえると思います。
 収録曲が〈春の祭典〉だけ、というのも気に入っています。トータル34分30秒。今時、こんな収録時間のディスクも珍しいですが、集中力を持って聴ける。今日も聴こう、とつい手が出てしまうSACD。これはSACD専用ディスクです。

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ソニークラシカルから発売しているブーレーズのSACD
Handel: Water Music; Music for the Royal Fireworks [SACD] Boulez Conducts Ravel [SACD]
Boulez Conducts Ravel [SACD]    
2010.2.25