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佐渡 裕指揮/シエナ・ウインド・オーケストラ
ブラスの祭典3

ディスク


録音2004年12月
りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)コンサートホール
国内盤、エイベックス
SACD/CDハイブリッド

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普通のプラケースにブックレット。富樫哲佳氏によるライナーと各曲の解説。

ブックレットにはシエナ・ウインド・オーケストラの演奏風景の白黒写真が何枚も。

プロフェッショナルがおくる、吹奏楽名曲の数々

 本作は人気シリーズの第3弾で、SACDでのリリースです。佐渡裕がシエナ・ウインド・オーケストラを振り、世界と日本の吹奏楽曲の名曲が演奏されています。録音はりゅーとぴあコンサートホールでのセッション録音。最後の1曲だけが同ホールでのライヴ録音です。
 吹奏楽曲は、クラシックファンには「物足りない世界」と思われがちですが、実際にはクラシックに匹敵するくらいの名曲もありますし、一歩ポップス側に足を置いた聴き方をすれば、なかなかカッコイイ曲もあります。
  このSACDでは、それらナンバーワンクラスの吹奏楽曲が高度な演奏で聴けるので印象もきっと変わるでしょう。オーディオ的にも、プロのウィンド・オーケストラの音は、非常に甘くやわらかいので、そこも魅力です。

今も「名曲」の収録曲の数々

 1曲目は「スターウォーズ」などの映画冒頭でおなじみの「20世紀FOXファンファーレ」。幕開けにはバッチリの曲。
 間髪入れずに河辺公一「高度な技術への指標」になだれこむ。1974年全日本吹奏楽コンクールの課題曲。こむずかし風のタイトルとはうらはらに、非常にポップで楽天的な曲(笑)。
 続くジェイガー「シンフォニア・ノビリッシマ」。これも世代を超えた名曲。余情的なメロディーを屈託なく歌い上げています。
  ホルスト「吹奏楽のための第1組曲」は、クラシック曲としても完璧なオリジナル曲。名曲〈惑星〉と同列に置いてもいいくらいカッコイイし、盛り上がります。
 クロード・スミス「フェスティバル・バリエーションズ」は、リヒャルトストラウスも真っ青の、すさまじい管弦楽。シエナの演奏は、ホルンをはじめ、個人の技巧、アンサンブルの完璧さに「さすがプロ!」と唸ってしまいました。
 ルディン「詩のない歌」は、体育会系の曲が多い(?)なかでの、吹奏楽ではめずらしく内省的な曲です。
 ラストは東海林修「ディスコ・キッド」。1977年の全日本吹奏楽コンクール課題曲で、この曲のみライヴ録音。観客の熱気も伝わります。この時の演奏には譜面にはないアドリブ・ソロを追加しています。さすがに硬いアドリブで(笑)微笑ましいかぎりですが、ライヴではさそ盛り上がったことでしょう。

マルチチャンネルは、リアルな「吹奏楽の空間」

 マルチチャンネルで聴きました。
 シエナの音が鳴り響いた瞬間、コンサートホールの空間がリスニングルームに広がります。クラシック・オーケストラのそれと違って、パァーと輝く、明るい残響音が特徴。
 実は僕も吹奏楽経験者ですが、このサラウンド空間はまぎれもなく「吹奏楽の空間」! どこかの団体の定期演奏会を聴いているような気持ち、コンクールを固唾をのんで聴いているような気持ちが見事に蘇りました。それだけリアルなサラウンドです。
 でもここで演奏しているのはプロ中のプロ。甘く迫力のある金管の音色。上品な木管。くさびをさすようなスネアの刻み、等々、ウインド・オーケストラの響きは、SACDで聴くと、とてもまろやかでいいですねえ。音と空間で「吹奏楽もこんな観賞ができる時代が来たか」と感慨も深いものがありました。
 最後のライヴ「ディスコ・キッド」では、観客がいるせいか演奏の熱気もパワーアップします。音の輝きも増している感じ。万雷の拍手につつまれて幕を閉じます。

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シエナ・ウインド・オーケストラのSACD
リード! リード!! リード!!!
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佐渡裕指揮/シエナ。<パイレーツ・オブ・カリビアン><カーズ>などの話題作から<メリー・ポピンズ> や<ミッキーマウス・マーチ>など歴史に残るディズニーの名曲の数々を吹奏楽で。
2010.7.4