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ストラヴィンスキー指揮コロムビア交響楽団 
ストラヴィンスキー:「春の祭典」「火の鳥」組曲

Stravinsky conducts Stravinsky
The rite of spring
The Firebird Suite (1945 version)
Columbia Symphony Orchestra
Stereo/Multi-ch
録音
「春の祭典」 1960年
「火の鳥」組曲 1967年
輸入盤、Sony Classical

普通のプラケースに外箱がつく。上写真は外箱の画像。ブックレットにはストラヴィンスキー自身による「春の祭典」と「火の鳥」組曲の解説文(英独仏語)。

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ストラヴィンスキー自身によるストラヴィンスキー

 このSACDはストラヴィンスキーが、自ら指揮した「春の祭典」と「火の鳥」組曲(1945年版)の演奏です。
 1950年代から60年代にかけて、コロムビアはストラヴィンスキーにほぼ全作品を指揮させてステレオ録音しようと企画しました。自作の勝手な解釈を嫌ったストラヴィンスキーも、作曲者の考える“模範演奏”を残したいとこの考えに同意しました。
 こうして、ほぼ全作品が作曲家自身の演奏、もしくは立ち会いのもとに録音されレコードになり発売されました。1980年代には全集としてまとめられ、90年代に全集のCD化もされています(最近、ボックスとして再発売されました。下欄参照)。
 このSACDはそのなかから「春の祭典」と「火の鳥」組曲を収録したものです。

「これでいいのだ!」と指揮者の「春の祭典」

 一般的に作曲者自身による指揮は不評のことが多いですが、この「春の祭典」はなかなかいいです。
 今日まで録音された、あまたの指揮者による「春の祭典」に比べると、エンターテイメント要素は薄いかもしれません。
 でも、わたしはこのストラヴィンスキーの指揮する「春の祭典」がいちばん好きです。アナログレコードから25年以上聴き続けていますが、いっこうに飽きません。彩色のない木彫りのように、無垢で素朴なところが気に入っているのです。
 「火の鳥」組曲の演奏は、そこまでは偏愛していませんが、それでもカップリングとしてはピッタリだと思います。

人類の遺産を記録としてではなくオーディオとして聴ける喜び

 この録音はジョン・マックローアの制作によるもの。同じ頃、ブルーノ・ワルターの演奏をステレオで録音した名プロデューサーです。
 「春の祭典」が1960年の録音 。「火の鳥」組曲は1967年の録音。記録としても貴重ですが、それ以上にオーディオとして満足する音質です。ワルターやセルのステレオ盤と同じ頃の録音ですからね。
 「春の祭典」はヒスノイズは本当に微小だし、大太鼓の太い音にはビックリさせられます。ワルターやセルのSACDの音よりいいと思うくらいです。
 人類の遺産である本録音をSACDで聴けて大変ありがたい。できれば全集全部をSACD化してほしかったけどなナア。SACD専用ディスクです。

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ストラヴィンスキー自作自演集CDボックス(SACDではありません)
WORKS OF IGOR STRAVINSKY
文中に書いたストラヴィンスキー自身による自作自演全集の再発CDボックス。CD22枚組でこのお値段は安い。25年前のアナログ全集は8万円くらいしました。90年代の初CD全集も2〜3万円した記憶があります)。晩年の宗教曲までほぼ全作品が録音されています。ストラヴィンスキーは三大バレエ以外にもいい曲がたくさんあるのでストラヴィンスキー入門によいと思います。箱入りでスペースも相当コンパクトになっているらしいです。しかし、どうやらアナログ全集、初回CD全集についていたストラヴィンスキー自身の解説や、歌詞などはついていないようです。
2009.6.17