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アルチュール・グリュミオー
ベートーヴェン&ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲

ARTHUR GRUMIAUX
Beethoven, Bruch: Violin Concertos

輸入盤、Pentatone
録音1973年、74年

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Pentatone(ペンタトーン)は、もとPhilipsにいた人たちで作ったレーベルだとか。カバーは、たすき掛けのデザインが基本。

たすき掛け部分がグレーのSACDは、旧音源をSACD化したもの(このSACDのように、当時の4チャンネルも多く含まれる)。

たすき掛け部分がクリームのSACDは、最新のDSDレコーディングのものである。

グリュミオーのPentatoneSACD

Brahms: Violin Sonata No. 1, Op. 78; Horn Trio, Op. 40; Vieuxtemps: Ballade et polonaise, Op. 38 [Hybrid SACD]

Tchaikovsky: Violin Concerto; Sereade melancolique; Bruch: Scottish Fantasy [Hybrid SACD]

Schubert: "Trout" Quintet, D667; Mozart: Clarinet Quintet, KV581 [Hybrid SACD]

SACDで蘇るグリュミオー、70年代の録音

 有名なヴァイオリニスト、アルテュール・グリュミオーの、ベートーヴェンとブルッフのヴァイオリン協奏曲です。
 共演はベートーヴェンがコリン・デイヴィス/ロイヤル・コンセルトヘボウ(1974年録音)、フルッフがヘインツ・ワルベルグ/フィルハーモニア・オーケストラ(1973年録音)。旧フィリップスの音源を沢山SACD化しているPentatoneからのリリース。

 グリュミオーは20世紀を代表するヴァイオリニストですが、僕はマリナー指揮の『バッハ:ヴァイオリン協奏曲集』のレコードでしか聴いたことがなく、それを聴いたときは、「中庸で聴きやすい」というイメージでした。
 そのレコードは、レコード店員が「バッハのヴァイオリン協奏曲なら、これが聴きやすいですよ」とグリュミオーのフィリップス盤をすすめてくれたので、その店員の言う「聴きやすい」という先入感が入っているのかもしれません。でもそのバッハは確かに癖がなく、聴きやすかった。よく聴きました。

 さて、このSACDもそんな「中庸なグリュミオー」かな、と思いきや、ちょっとちがう感想をもちました。聴きやすいのは確かにそうだけれども、それだけではなく、ほんとうに「大家みたいな演奏だ」と。
 バッハとベートーヴェンのちがいかもしれませんが、グリュミオーのヴァイオリンは、今まで自分がいだいていた「中庸のイメージ」とはちがい、「むせび泣く」ような、エモーショナルなところがあるように思いました。歴史に残る演奏家だけあって、さすがに惹きつけてくれる音色、演奏でした。

マルチチャンネルには4チャンネル録音を収録

 マルチチャンネルでは、オリジナルの4チャンネル録音が聴ける。4チャンネル録音といっても、ほとんどステレオみたいに鳴っているのですが、かすかなリアの響きが、音を豊かにしていると思います。
 レビューで何度も書くように、70年代に失敗に終った4チャンネルも、こうやって聴くと、ほんとうに良くできていたと思う。4チャンネルの再評価を期待したいところです。
 グリュミオーの演奏は、左に載せたとおりPentatoneからいくつかSACD化されておりますので、ファンの方はチェックしてみてください。

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2008.1.13