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菊池洋子(ピアノ) モーツァルト・アルバム

菊池洋子(ピアノ)
沼尻竜典&オーケストラ・アンサンブル金沢
モーツァルト:
ピアノ協奏曲第21番
ピアノ・ソナタ第11番(トルコ行進曲付き)


録音2005年 石川県立音楽堂
国内盤、エイベックス

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キラキラと輝くモーツァルト

 菊池洋子はザルツブルグのコンクールで日本人で初めて優勝したピアニストだそうです。ですので、さすがにこのモーツァルトは満足です。てゆうか、聴いていて、かなり新鮮味のあるモーツァルトだと思いました。
 「モーツァルトなら、ああ、こうなるだろうな」というこちらの常識を、ちょっと越えたキラメキがあった。
 キラメキと書いたのは本当で、この人のピアノは、すごくキラキラしているんですよね。モーツァルトなら、コロコロと小粒の輝きで弾くのは当然でしょうが、それを越えて、音色がやたら輝いている。
 その昔、映画「短くも美しく燃え」に使用されたことで有名な「ピアノ協奏曲第21番」では、ピアノの各声部が、すごく聞き通せるのも特徴だ。他の人の演奏では、なんとなく、あいまいにしか響かない左手の演奏も(案外これで許されていた?)、ちゃんと聞える。
 あっけらかんとしていると言えばそれまでだが、それがキラキラ輝く音と相まって、とても魅力的な演奏に思いました。または魅力的な再生音ですかね。
 余談ながら、菊池はフォルテピアノにも精通しているそうです。その成果も、このモダンピアノの演奏に、存分にでていると思いました。独特の装飾音もハッとさせられた。カデンツァも菊池の自作のものです。

ピアノ・ソナタ(トルコ行進曲付き)も収録

 「ピアノ協奏曲21番」と同時収録されているのは、「ピアノ・ソナタ(トルコ行進曲つき)」。
 普通は、ピアノ協奏曲2曲がカップリングされるのが常道だが、ピアノ・ソナタの収録ということに最初、「なんだかなあ」と思ったりした。
 しかし、このカップリングもいいのでした。マルチチャンネルでのリスニングでしたが、ピアノ協奏曲の広がりのあるフロント再生のあと、同じ空間でピアノだけでポロンと響く、そのコントラスト。
 どちらも引き立つわけで、ディスク全部をじっくり聴くには、もってこいのカップリングだと思いました。特にピアノ・ソナタを集中して聴ける機会が持てて良かったと思います。
 というわけで、いろいろ書きましたが、モーツァルトのピアノ協奏曲、ピアノ・ソナタの演奏としてはなかなかの魅力的なSACDだと思いました。個人的には、海外アーティストが弾いたモーツァルト以上に「くるものがあった」と思います。

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菊池洋子のSACDレビューとCD紹介
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番、ソナタ第9番ほか/菊池洋子
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B001JI47OM モーツァルト:ピアノ・ソナタ集(第1・12・17番)(CDです)
第3弾は、やっぱりピアノ・ソナタでした。でもCDでのリリースは実にもったいない。
2006.1.13