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パスカル・ロジェ(ピアノ)ベルトラン・ド・ビリー(指揮)、ウィーン放送交響楽団 
ガーシュイン:パリのアメリカ人、ラブソディー・イン・ブルー/ラヴェル:左手のための協奏曲

Hybrid Stereo/Multi-ch
輸入盤、OEHMS
角の丸いプラケース

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ガーシュイン:ピアノ協奏曲、ラヴェル:ピアノ協奏曲 ロジェ(p)

ガーシュインをあらためて聴いてみると、よかった

 ガーシュインの「パリのアメリカ人」と「ラブソディー・イン・ブルー」。同時代のシリアスな前衛音楽、シェーンベルクやストラヴィンスキーらとくらべると、イージーリスニングぽい印象ですが、あらためて聴いてみると、とても良い曲だと思いました。
 どちらも20分もない作品ですが、清涼剤のように楽しめます。そのライトな感覚は、クラシックぽい威厳はありませんが、これも当時のアメリカを象徴している立派な“現代音楽”と言えるでしょう。
 ガーシュインから尊敬されたラヴェルとのカップリングも気が利いています。「左手のための協奏曲」も20分に満たない作品ですが、ジャズの雰囲気あり、ロマンティックなところあり、精緻で親しみやすいラヴェルらしい作品です。
 ピアノのパスカル・ロジェは、メジャー・レーベルに録音を多くしていた、フランス物で特に有名なピアニストですが、OEHMSに録音してくれてSACDで聴けるというのもうれしく思いました。

マルチチャンネルは、ずばりホールで聴いているような響き

 マルチチャンネルでは、オーケストラとの距離感、広がりが、ずばり「ホールのような響き」と言っていいでしょう。
 リスナーは、ちょうどいい席で聴いている感じになります。ピアノとオーケストラも溶けこんだ鳴り方をしている。「パリのアメリカ人」の一体となった喧騒感も、聴きどころといえます。
 こう書くと「音の切れ味はどうかな?」と心配になる方もいるかと思いますが、ご心配なく。とりわけガーシュインの2曲は、強烈なアタック音も多いのですが、それらはビシーっと耳にくるや、残響音が頭の後ろへとパァーと広がる。いい感じです。
 OEHMSというレーベルは、ブランド・イメージとして高音質のイメージがなかったのですが、このディスクを聴いて高音質なレーベルなんだなと思いました。それも「音がどうのこうの」という、ともすれば近視眼的なオーディオの見地ではなく、「音楽の鳴り方として」高音質というところに好感がもてました。
 OEHMSレーベルは価格も安い。このお値段でこの音なら、お釣りがくるでしょう。

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2008.8.27