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チェコ・フィルハーモニー弦楽四重奏団
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」、第16番、アダージョとフーガ


Hybrid Stereo/Multi-ch
録音、2007年5月。
プラハ、ドモヴィナ・スタジオ
国内盤、エクストン

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普通のプラケースにブックレット。ブックレットにはライナー「デビュー・アルバムに寄せて」と曲の解説。もちろん日本語です。

エクストンレーベルから、チェコフィルのメンバーによる四重奏団

 このSACDにはモーツァルトの〈ハイドン・セット〉の中から、第17番K.458「狩」と第16番K.428、それからアダージョとフーガハ短調K.546が収録されています。
 演奏はチェコ・フィルハーモニーのメンバーによる弦楽四重奏団。2000年に結成され、その後メンバーを入れ替え今日にいたります。
 1曲目のK.458「狩」はとてもいい曲です。後世の人が命名した「狩」という名称のイメージに固定されることなく、広がりのある音楽です。
 僕が個人的に好きなのが2曲目のK.428。〈ハイドン・セット〉のなかでも一番のお気に入りです。冒頭の入りが大好きで、アルバムの最初を飾るのはK.428こそがふさわしいと思うのですが(実際そういうディスクが多いと思います)、そこはまあ、制作者との好みのちがいでしょう。

楷書のように精緻に録られた優秀録音

 しかし録音については、制作者の好みと一致します。先にレビューしたプラジャーク四重奏団盤と同じスタジオ、同じ年の録音です。どちらがいいという問題ではなく、細作者によって音がちがうのが興味深いです(どちらもDSDレコーディングだし)。マルチチャンネルで聴きました。
 エクストンの録音は、秋晴れのようなスカッとした空気感です。4人の音もみごとに録られています。
 プラジャーク四重奏団盤は太い音で、フォルテの全体合奏では渾然とした一体感が魅力でしたが、こちらは、どこまでも奇麗に澄み渡っています。まるで楷書のように、きちんと丁寧に、そして奇麗に録音された音なんです。
 聴いていて気持ちがいい。最初はプラジャーク盤にくらべると線が細いかな、と思ったのですが、聴き続けるとこちらは「精緻な音」に魅了されました。
 最後になりましたが、「アダージョとフーガ ハ短調K.546」も素晴らしい曲です。ケッヘルの500番台は、モーツァルトが若くして死に近づき、なみなみならぬ曲が創作される時期、それが500番台なんです。

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2009.7.25