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プラジャーク四重奏団
シェーンベルク:弦楽四重奏曲第4番作品37/〈浄夜〉(弦楽六重奏版)

Hybrid Stereo/Multi-ch
輸入盤、PRAGA

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あえて癒しに聴く〈浄夜〉。秋の夜長に浸りたい。

 これはシェーンベルクの「弦楽四重奏曲第4番作品37」と〈浄夜〉(弦楽六重奏版)のカップリングされたSACDです。シェーンベルクも、とうとうSACDで聴きますか。

 弦楽四重奏曲第4番は1936年の作曲。これは無調か十二音技法、どちらになるのか、ちょっと勉強不足でわかりませんが、いずれにしましても、調性から離れたバリバリのいわゆる“現代音楽”であります。
 しかしSACDだから、とはあえて申しませんが、この音楽を聴くと「美しい!」と思ってしまいます。マルチチャンネルのサラウンドで、響きがすごく豊かなのも一因かもしれません。
 結果的に「大衆のクラシック離れ」になった調性の崩壊ですが、この作品を聴くと「歴史的には必然だった」と思いたくなるほど。ベートーヴェンやモーツァルトみたいに、好きになる人がいなくても、あえて「十二音技法は必然だった」と言ってしまいたいくらいです。

 いっぽう〈浄夜〉は1899年の作曲、こちらのほうが作曲年代は若く、バリバリのロマン派音楽。この曲のねちっこさは、マーラーも影がうすくなるほどです。
 かつて〈浄夜〉を聴いた時、その暗さは「クラシック随一だ!」と思ったものですが、聴き慣れると、これが最高にいい曲なんですよね。
 筆者はこの曲を、悲しいことがあった時に聴くことにしています。あえて「癒し音楽」に使用しているんです。毒をもって毒を制すと(笑)。
 〈浄夜〉は弦楽合奏版で演奏される事が多いですが、オリジナルはここに収められた弦楽六重奏版です。
 「弦楽四重奏曲第4番」と〈浄夜〉、つづけて聴くには、ちょっとヘヴィーかもしれませんが、秋の夜長に浸りたい音楽です。

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2008.9.21