Anne-Sophie Mutter
Carmen-Fantasie
録音1992年
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角の丸いプラケース。
ブックレットには「ANNE-SOPHIE MUTTER IN CONCERT」と題されたライナーを英、独、仏語で掲載。
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ヴァイオリンの名曲をムターが快演
本作はアンネ=ゾフィー・ムターが、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」「カルメン幻想曲」、タルティーニの「悪魔のトリル」ら、ヴァイオリンの超絶技巧曲を弾くSACD。他にラヴェルやフォーレの優雅な小品も含まれます。バックはレヴァイン指揮ウィーン・フィルハーモニー。
「カラヤンの秘蔵っ子」という昔からの印象のせいか、ムターは技巧派ではないと、勝手に思っていましたが、大間違いでした。
すごくエキセントリックに聴かせます(サラサーテ、タルティーニ)。もちろん表現力もある。ヴァイオリンという楽器の強弱、音色(ラヴェル、フォーレ)、あらゆる面を見事に演奏しています。
SACDの音質の良さが分かるディスク
本作は1992年の録音。SACD化は〈44.1kHz/24bit〉。グラモフォンは〈96kHz/24bit〉のSACDもあり、〈44.1kHz/24bit〉では「音は期待できないかも」と心配していましたが、CD層とSACD層の音質の違いが、思った以上に聴き取れました。
CD層はクリアで綺麗な音ですが、SACD層を聴いてしまうと、音の差がハッキリします。SACD2chは、綺麗なだけではなく「音に実がある」のがわかる。これにくらべると、CDは表層の音で終わっている感じ。
SACD2chは、音がやわらかいです。十分なボリュームで鳴らすと、CDの音はエッジがあるのか、鼓膜が痛くなります。SACDは同じ音量でも、そんなこともなくマイルド。ヴァイオリン独奏の倍音、ウィーン・フィルの弦楽の倍音、高音から低音まで、肉汁タップリの音が聴けます。
マルチチャンネルではさらに違う音に
CD層とSACD2chで音質の違いがあるのに続いて、SACD2chとSACDマルチチャンネルでも、かなり音(音場)が違います。
CD層やSACD2chでは、だいたいスピーカー間隔でオーケストラが出現しますが、SACDマルチチャンネルでは、オーケストラが、スピーカーの枠を超えて左右にグワっとサイズアップします。加えて奥にもグワっと寸法ができあがります。
2ch再生では、独奏ヴァイオリン、オーケストラを目の前(寄り気味)に平面状に出現させて、どちらかというと「かぶりつきで聴いてくれ」という再生音でしたが、SACDマルチチャンネルでは、オーケストラ、ヴァイオリンとも「距離」が出現して、「空間の中で鳴っている」感じになります。
1992年録音ですから、マルチチャンネルの制作はアンビエント音を処理して作り上げたマルチでしょうが、満足する空間になっています。
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アンネ=ゾフィー・ムターのSACD
2010.10.7
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