Dai Kimura
London Essay
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録音2006年7月〜8月
石川県立音楽堂、ソニーミュージック・スタジオ、坂東市民音楽ホール
国内盤、ソニーミュージック
共演
・小松長生指揮オーケストラ・アンサンブル金沢
・大島ミチル指揮加藤JOEストリングス
・木村祐
ブックレット
木村大による前書き風文章と各曲の解説。伊熊よし子のライナー「いま、ロンドンの想い出を新たな気持ちで音のエッセイとして綴る」。
収録曲
1. アメイジング・グレイス
2. タイム・トゥ・セイ・グッバイ
4. 天国への階段
5. グリーンスリーブス
6. ロンドンの街々
7. ホランド・パーク
8. スカボロー・フェア
9. ワイルド・マウンテン・タイム
10. イギリス組曲:第1曲 前奏曲
11. イギリス組曲:第2曲 フォークソング
12. イギリス組曲:第3曲 円舞
13. ロンドンデリーの歌
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イギリス留学後の木村大が、イギリスへの思いを綴ったアルバム
本作は木村大が、イギリスの王立音楽院の留学から帰国したあと、2年後に発表されたアルバム。
帰国後はまず『カリフォルニアの風』をリリースし、そのあと木村大自身に納得がいったところで、イギリスへの想いを綴った本作が制作されました。
収録曲はイングランドの民謡や、ブリティッシュ・ロックの曲、イギリスを題材にしたギター・オリジナル曲です。
ギターとオーケストラで奏でるイギリスの風景
まずはオーケストラをバックにした曲から始まります。
「アメイジング・グレイス」「グリーン・スリーブス」といった、日本人にもグッとくるトラディッショナル。木村大も「これらをぜひギターで弾きたい、弾くべきだ」と思ったとか。
それからエルトン・ジョン「ユア・ソング」、レッド・ツェッペリン「天国への階段」。これらのロックも、ギターで奏でると、イギリスのトラディッショナルな香りを醸し出してきます。
「天国への階段」はオリジナルの前半にあたるアコースティック部分の編曲なので、ギターへの編曲はピッタリとなります。
SACDの音
音は、リアルなアコースティック空間というより、ギターとオーケストラを適度にミックスした音。ギターの音像はオーケストラに近い大きさです。
マルチチャンネルも、アコースティック空間のリアルな再現ではなく、前方に大きく広がる感じ。コンサート会場ではなく、劇場で大きなスクリーンを観る感じでしょう。オーケストラの広がりとギターの音色が、癒しの空間をかたち作ります。
緊張感あるデュオ、そして内省的なソロ曲
オーケストラの次は、弟、木村祐(この時まだ中学3年生!)とのギター・デュオの曲です。「ホランド・パーク」「スカボロー・フェア」など、緊張感が漂う楽想。
音はやや残響の付く響き。このような音処理のほうが、アルバムコンセプトには合っていると思います。
最後はソロで、ギター用のオリジナル曲「イギリス組曲」(Englis suite for Guitar Solo、J.デュアート作)。本作ではこれが一番の充実度に思えました。やっぱりギター・オリジナル曲はいいです。
そしてギターをこよなく愛した武満徹の編曲による「ロンドンデリーの歌」。
このように『ロンドン・エッセイ』は、オーケストラ付きの心染みる曲からはじまり、緊張感あるデュオ曲をへて、内省的なソロ曲で終わる、という構成になっています。
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木村大のSACD
2012.5.29
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