topaboutblogclassicaljazzpopsjpopselect
S
デヤン・ラツィック(ピアノ)
リエゾンスVol.1〜スカルラッティ&バルトーク

ディスク
Dejan lazic
liaisons vol.1
scarlatti bartok


録音2007年5月
Channel Classics
Amazon

角の丸いプラケース。ブックレットにはラツィック自身による簡単なライナーノーツ(英語)。トータル78分強。

スカルラッティとバルトーク、溶け合う音楽

 これはピアニスト、デヤン・ラツィックのユニークな選曲のSACDです。18世紀の作曲家スカルラッティとバルトークのピアノ曲を交互に並べた組み合わせ。
 スカルラッティが生涯555曲残したソナタは、同じバロックでもバッハとはちがった味わいがあります。バッハが宗教的、厳格に構築した音楽とすれば、スカルラッティは市民的で、どこか暖炉のような暖かみを感じる音楽に思います。
 そのスカルラッティと現代音楽の入り口に位置するバルトークの組み合わせ。いくらロマン派の溝を飛ばしたとはいえ、時代がちがう二人の作曲家。聴く前は“対比の面白さ”のSACDかと思っていましたが、聴いてみると意外となじんでいるのにビックリしました。
 1枚のSACDを聴き続けていると、二人の作曲家の五線譜がつながっているような感じがしました。スカルラッティとバルトークは、対比というより溶け会っている感じです。ラルィックが考えたようにふたりの作曲家の間に「のりしろ」はあったんですね。
 もちろんバルトークならではの、リズムの強調された曲が出るとワイルドではありますが、それもこのSACDの中では、ちょうど交響曲の山場のような気がして、やっぱり違和感ないのです。
 スカルラッティにしてもバルトークにしても、それだけでピアノ曲を聴き続けていると、78分の長丁場ならまず退屈しそうなものですが、交互に聴く事で楽しめる利点もあります。

ラツィック、ソロとして注目のピアニスト

 ラツィックはチェリスト、ウィスペルウェイのサポートピアニストとして知っていたせいでソロとしては未知でしたが、とてもいいです。
 スカルラッティではグールドのような驚異的な粒建ちに感動しました。バルトークの演奏も文句なしです。これからはソロとしても注目の人です。
 マルチチャンネルは5本のスピーカーで前方にまとめる奇麗なサラウンドです。

Amazon

ラツィックのSACD
Liaisons, Vol. 2: Schumann & Brahms [Hybrid SACD]
Liaisonシリーズ第2弾。シューマンとブラームスの組み合わせ。
2009.10.3