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クルト・マズア指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ブリテン:戦争レクイエム

BRITTEN
WAR REQUIEM
Stereo/Multi-ch
録音2005年
輸入盤、LPO

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角の丸いプラケース。演奏時間は83分少々。ブックレットには原語歌詞と英訳歌詞。

ロンドン・フィルのSACDは、ジャケット写真の中に、いつも★のマークがあしらわれております。それも面白いですね。

イギリスの作曲家ブリテンは、名前はよく知っていた

 少なくとも僕らの世代では、イギリスの作曲家ブリテンは、一番最初に知った現代音楽の作曲家ではないか。彼の『青少年の為の管弦楽入門』は、学校の(大嫌いな)音楽の授業で、誰もが聴かされた経験があると思う。
 レコード愛好家にとってもブリテンは著名な方だった。その昔、ブリテン自身の指揮した『戦争レクイエム』のレコードは、現代音楽にしてはかなり売れたと思う。クラシックの名盤として、かならず紹介されていた。
 そんなわけなので、SACDでリリースされているのを機会に、僕も初めて『戦争レクイエム』を聴いてみました。

1960年代の作品ながら、個人的には“古典入り”の名曲

 演奏は、クルト・マズア指揮、ロンドン・フィルです。これは2005年に「第二次世界大戦、終結60周年」として演奏された時のライヴ録音です。
 『戦争レクイエム』は、よくある『レクイエム』のように、ラテン語の歌詞だけではなく、新しい英語の歌詞も組み合わせて構成されている。
 さて、ブリテンの作曲は、現代音楽と思えないほどオーソドックスであります。いや、ちょっとは、それらしい響きはあるのですが、調性はあるので、いわゆる「パリバリの現代音楽」ぽくはありません。
 ちょうど、ショスタコーヴィチの交響曲第5番が、まるでロマン派の曲のように聴けるように、この『戦争レクイエム』も、普通のクラシックみたいに聴けてしまいます。
 とはいえ最初に聴いた時は、正直とっつきが悪くて「退屈だな」と思いました。でも、何回か聴いていると、魅かれる部分がでてくるんですよね。
 まず、随所にでてくるソロパートが、緊張感があっていい。その時は、管弦楽パートも、ちょっと現代音楽ぽくてスリルがある。平易な部分と、よくわからない部分が絶妙で、しばらく心地よい刺激をもとめて、このSACDばかり聴いていました。
 結果、好きになるまで時間はかかりましたが、この『戦争レクイエム』は僕のなかでは、めでたく古典の仲間入りとなりました。1960年代作曲の現代音楽が、古典になってしまう、というのも珍しいと思いますが……。

マルチチャンネルは広々としていいです

 マルチチャンネルは、センター・スピーカーを使わないマルチです。広々とした空間が浮かび上がります。
 でも、無駄に広げているわけでなく、合唱とオーケストラを綺麗に並べて、ちょうど良く聴けるような広さなので、聴いていてとても心地良いマルチです。
 ときおり、少年合唱団だけによる天上的なコーラスの部分がありますが、その時は、消えるような微かな合唱を、左右のリアに近い所に振り分けています。実演がこうだったのかどうか、わかりませんが、これも効果的で好きな所です。
 最後に、このSACDは、ハイブリッド盤ではなく「SACD専用ディスク」ですので御注意ください。

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2008.7.19