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エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)、ジョージ・セル指揮ベルリン放送交響楽団、ロンドン交響楽団
R.シュトラウス歌曲集

ディスク
R.STRAUSS:LIEDER
SCHUWARZKOPF


録音 1965年と1968年
国内盤 EMI JAPAN

Amazon  ¥3,000

普通のプラケースにブックレット。

ブックレットには、アビイロードでのマスタリング風景写真とサイモン・ギブソンのライナー「EMIのカタログの中核をなす名録音のSACDのためのマスタリングについて」。

森木正幸のライナー「声、オーケストラはもちろんのことソロ・ヴァイオリンの音色に特筆すべき聴き所がある」と楽曲解説。

各曲の歌詞と日本語訳。最後にシュヴァルツコップの白黒写真。

シュヴァルツコップの歌声が、なんとも言えぬ存在感で浮かびあがる

 EMIからの第1回発売から、このSACDを聴いてみました。
 シュヴァルツコップの歌う「四つの最後の歌」。指揮はジョージ・セル。昔からこの曲の定番といえる名盤です。

 「四つの最後の歌」の第1曲「春」が始まるや、すぐに気づくのですが、「シュヴァルツコップの歌声が、なんとも言えぬ存在感で浮かびあがる」。全体を通じて、このSACDの感想はこれにつきます。

 オーケストラはトラック9まで、ベルリン放送交響楽団。
 オケの音はゴリゴリ感はうすく、どちらかと言えば、粒子の細かい肌触りです。
 一聴した時は、アナログ度が薄く感じるのですが、しばらく聴いていると、これもアナログ的な暖かみがある音だと気づきます。ヴォリュームを上げても、耳に柔らかく、聴き疲れがしませんでした。

 トラック10からのロンドン交響楽団では、オケの音が太くなり、ゴリゴリ感を含むのが分かります。十分なアナログサウンドで、シュヴァルツコップの声や、ソロ・ヴァイオリンがいっそう魅惑的になります。

 振り返るに、トラック4までの「四つの最後の歌」は、寂寥として、陰影を押さえた管弦楽法なので、ゴリゴリ感が少なかったのかも知れません。
 トラック5からの歌曲では、シュトラウスの編曲もカラフルになるので、空気感も感じられるようになります。

シュヴァルツコップがいいのか、曲がいいのか、SACDの音がいいのか

 シュヴァルツコップの歌唱は、本当に素晴らしい。
 ドイツ語の彫りの深さ、それでいてラテン的なニュアンスが顔を出す歌い方が、大好きです。
 “ディーバ”タイプの、大げさなところがない歌唱も魅力。「四つの最後の歌」や「献呈」「あした」など、卓越した美しさがあります(それでも「憩え、わが魂」での重厚さには、聴き惚れますが)。

 このSACDは、60分間が過ぎるのが早いです。
 聴いている時の満足感は、シュヴァルツコップがいいからなのか、曲がいいからなのか、SACDの音がいいからなのか、断定できないのが悩ましいところ。
 それらを、ひっくるめて「この音で聴けて満足」と書いておきます。オーディオ的満足感にひたりつつ、音楽にドップリつかったSACDでした。

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2011.12.15