MILES DAVIS
BITHES BREW
2006年DSDマスタリング
国内盤、2枚組、
ソニーミュージック
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1枚ものプラケースに2枚収録。ブックレットには、オリジナル・アナログに掲載のライナーの日本語訳。
さらに本作の録音を追ったライナーも掲載されている。これは『ザ・コンプリート・ビッチェズ・ブリュー・セッションズ』(CDです)のライナーからの抜粋。抜粋と言ってもなかなか読み応えのある量です。
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ジャズの歴史に残る『ビッチェズ・ブリュー』
ジャズ・シーンに何度も革命をもたらしたマイルス。そのなかでも一番の衝撃作がこの『ビッチェズ・ブリュー』でしょう。1970年に発表された2枚組です。
当時は、ジャズのエレクトリック化となった「フュージョン」のさきがけと言われたり、ロックの導入と言われたりと、賛否両論がありましたが、売り上げはマイルスのアルバムの中でも最高でした。
でも、発売されて40年近くたった現在の視点でみると、この『ビッチェズ・ブリュー』はフュージョンでもロックでもなく、ひょっとしてジャズからも離れているような気がします。“マイルス・ミュージック”という感じなのです。
この頃のマイルスは、「テーマ、そのあとに順番にアドリブ、締めのテーマ」という単純なジャズでなく。もっと混みいった音楽づくりです。全体がカオスといった感じで、輪郭のない、浮遊しつづけるイメージ。一発演奏というより、あとからテープ編集で構成されたところもあり、アンビエントな要素もどこか感じます。
編成が独特なのも、この頃のマイルスの特徴です。2台のドラムに、2台のキーボード、ときに2台のベース。このリズム隊に加えて、ギター、バスクラリネットの怪しげな音も随時聴こえ、ポリリズムの渦なのです。
ジャケットに記されたライナーのように、この音楽は説明するより「語りたくなる」
。「小説が書きたくなる」というのも分かる気がします。
たぶん、初めて聴くとアゼンとするかもしれませんが、40年近く聴き続けている筆者としては、聴くたびにちがう印象を持つ。いつまでも飽きません。やはり傑作だと思います。特に1枚目の「ファラオズ・ダンス」「ビッチェズ・ブリュー」はこのアルバムのメインディッシュでしょう。
でも、もし初めて聴かれるなら、2枚目の「スパニッシュ・キー」が入りやすいです。1枚目がアフリカン・ポリ・リズムとしたら、2枚目にはビートやリズムを感じやすい曲が並んでいます。2枚目のほうがマイルスもソロをバリバリと吹いています。ラストは「サンクチュアリ」、瞑想的なバラードです。
SACDでも効果ありだと思う。
普通のアコースティック・ジャズならオーディオ的にも美味しいでしょうが、沢山の楽器が一緒に鳴っている本作。エレクトリック楽器もあることですし、「『ビッチェズ・ブリュー』はオーディオ的にはどうかな?」と思っていたのですが、SACDで聴いてみると。なかなかよい音です。
オリジナルがそうだから仕方ないですが、アコースティックな空気感は、あまり感じられませんが、各楽器のふくよかさには惹かれました。「ファラオズ・ダンス」は昔は、音が混み合ったペタッとしたイメージだったのですが、ここでは各楽器の輪郭や立体感がきれいに出ているような気がします。エレクトリック楽器でもSACDで効果はありそうです。このSACDはハイブリッド再発盤。2006年のDSDマスタリングです。
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さらに『ビッチェズ・ブリュー』のSACDをあげるなら
2009.9.20
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