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SACDhybrid マイルス・デイビス
E.S.P.


MILES DAVIS
E.S.P.

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Stereo/Multi-ch
国内盤、ソニーミュージック
SACD専用ディスク

ソニー初期の四角いデジパック仕様。

ブックレットには1996年CDのライナーを流用。

60年代マイルス・クインテットの初スタジオ録音

 本作は60年代マイルス・クインテットの初スタジオ録音。
 マイルス・デイビス、ハービー・ハンコック、トニー・ウィリアムス、ロン・カーターに、ウェイン・ショーターが加わり、黄金クインテットが完成しました。
 そのメンツで1965年にスタジオ録音されたのが本作です(ライヴ盤では『マイルス・イン・ベルリン』があり)。

ジャケットで誤解されている? マイルスの傑作アルバム


ソニーが最初に出したSACDパッケージ。当時はSACDといえば、これしかなかった。今でも好きなデザインで、他タイトルも見つければコレクションしている。

 今日、マイルス・クインテットの評価は揺るぎないものがありますが、進歩が早かったせいもあって、やや、とっつきにくいアルバムもあります。
 そんな中で『E.S.P.』はマイルスの全時代を通じてもベスト5に入ると思います。
 ジャズの面白さと聴きやすさ、前衛性とカッコよさが同居したアルバムです。凝った曲なのに、耳には実にポップに響くのです。
 『カインド・オブ・ブルー』とならぶ完成度なのに、人気が劣るのは、たぶんジャケット写真のかもしだす「ほのぼのムード」(笑)が、このアルバムの緊張感を伝えていないのは、と思うのです。

5人の個性が「素」のまま、ぶつかり合った演奏

 タイトル曲「E.S.P.」も凄いですが、2曲目「Eithy One」がとにかくシビれます。
 (当時の)ロック・ビートを取り入れたようなリズムに、ハンコックが「処女航海」のようなピアノをかぶせます。カッコイイ。

 5曲目「Agitation」はトニー・ウィリアムスのドラム・ソロで始まるのですが、これが「ジャズの芸事風ドラム・ソロ」ではなく、ロックのドラム・ソロのようなパワフルなもの。そのあとマイルスのトンがったミュート・プレイが入ってきます。
 ショーターのサックスも、ほんとうに初々しい。
 演奏は5人の個性が、頭でっかちにならず、文字どおり「素」のままぶつかり合っているようで素晴らしいです。 


ブックレットは左表紙に入っている。写真ではわかりずらいが、ディスク・トレイが深いところが、また好きなところ。

アナログ盤を彷彿とさせる、骨太でガッツのある音

 本作はソニー初期、2000年発売のものでSACD専用ディスクです(シングルレイヤー)。2006年発売のマイルスSACDハイブリッド・シリーズに入っていないので、現在もこのシングルレイヤー盤が唯一のSACDです。

 SACDの音はアナログ盤を彷彿とさせる、骨太でガッツのある音。
 およそデジタル機器から出てきた音とは思えず、自分のシステムで言えば、アナログ・レコードを、ガラード301にシェアのカートリッジで聴いているような錯覚でした。

『E.S.P.』のSACDは演奏、曲、音質で、マイルス・クインテットの完璧なパッケージ

 5人の楽器音は、それぞれ解像度があり、存在感もあります。
 先に演奏を「素のままぶつかり合っている」と書きましたが、音も「素のままぶつかり合っている」感じで、エキサイトします。
 特にロン・カーターのベースは、むこうでビシッと弾いた弦音が、こちらにバシッとあたる感じで、「低音域に埋没しない、ひきしまった低音」であります。

 惜しむらくはハービーのピアノが、やや「オモチャっぽい響き」で物足りませんが、それは当時の録音の問題で仕方ありません。その音自体は、100%素晴らしい音で再生されているので、オーディオとして不満はありません。

 『E.S.P.』のSACDは、演奏、曲、音質で、マイルス・クインテットの完璧なパッケージだと思います。よかったら聴いてみてください。

B00005HMRO
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2013.6.12