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クラーク・テリー&マックス・ローチ
フレンドシップ

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Hybrid
録音2002年3月、NY
国内盤、Eighty-Eight's
紙ジャケ仕様

紙ジャケは見開きで、光沢のある綺麗なもの。簡単なライナーと曲目解説がつく。

帯の宣伝文句
「涙、別れ、でもきっと最後には、笑顔がある。2大巨匠の職人芸で刻む新たなジャズ史の1ページ!」

2大ベテランの歴史的記録となるSACD

 ジャズファンなら、(モノラルの)ブラウン=ローチ・クインテットの「マックス・ローチのドラムスを、高音質で聴けたら」と思ったり、デューク・エリントン楽団の「クラーク・テリーのトランペットソロを、高音質で聴けたら」と思ったことがあるでしょう。
 昔の録音ゆえ仕方がない、とあきらめる分けですが、どっこいそれが実現したSACDがこれです。
 2002年の録音時、クラーク・テリーは82歳(!)、マックス・ローチは78歳。伊藤八十八プロデューサーの企画で、ふたりの共演アルバムが制作されたのです。ピアノにドン・フリードマン、ベースにマーカス・マクローリンがサポートしています。

 両巨匠の演奏を高音質で聴ける幸せ

 曲は二人だけの(ドラムとトランペットだけの)デュエット、ローチのドラムソロだけの曲もあれば、先のサポートを交えたコンボ演奏もあります。
 デュエットやドラムソロ(パーカッションソロと言うべきか)は変則的ですが、21世紀のジャズアルバムらしい息吹を感じます。
 一方オーソドックスなコンボ演奏では、ご両人のまあ、生き生きとしたプレイにホレボレします。
 それを、高音質で有名なエイティ・エイツ・レーベルだけあって、中音域のたっぷりした、やわらかい音で聴けます。DSDレコーディングではありませんが、文句なしの音。冒頭に書いた夢がかないました。
 「クリフォードと一緒の頃から耳にこびりついている、ローチのドラミングを、こんな音で聴ける幸せ」
 「テリーのフリューゲルホーン、すげえまろやか!とろけるような甘い高音質(本当にまろやかです)」
 などと申し分ありません。

クラーク・テリーのバラード演奏にちょっと涙ぐみそう

 このアルバムの中で個人的に至福のトラックは、クリフォード・ブラウンの死を悼んでベニー・ゴルスンが書いたバラード「アイ・リメンバー・クリフォード」です。
 ライナーによれば、クリフォードの盟友であるローチは、亡き友への思慕の念のあまりドラムが叩けなくなったとか。
 なのでドラムスはなし。そのかわりクラーク・テリーの涙もののフリューゲルホーンを聴くことができます。
 でも僕にはクラーク・テリーも、いっぱいいっぱいの演奏のような気がしました。どこか感情的に思え、ところどころあやうい感じ。それだけにリアルにこちらに染み入ります。このテイク最高です。
 このSACDは最初SACD専用ディスクだったものを、ハイブリッド仕様にして再リリースしたもの。初出ではプラケースでしたが、再発にあわせてエイティ・エイツ・レーベルではおなじみの見開き紙ジャケットになりました。厚手の豪華な作りで、これも味わいがあります。

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2010.1.27