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ハービー・ハンコック  ガーシュウィン・ワールド


HERBIE HANCOCK
GERSHWIN'S WOLRD
Hybrid Stereo/Multi-ch
輸入盤、VERVE
SACDハイブリッド

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角の丸いプラケース。
ブックレットには各曲の演奏者リスト。
ハンコックの簡単なアルバムにたいする文章(英文)。
ロバート・セイディンによるライナー(英文)。

ジャケットは地味ですが、右に書いたようにバラエティな音楽に、カラフルなサラウンド。

ハンコックがガーシュインの曲をもとに作り上げた意欲作

 このアルバムはハービー・ハンコックが、クラシック作曲家ジョージ・ガーシュウィン(およびその周辺)の音楽を演奏した作品です。
 といっても単なる「カバー集」に終わっているはずもなく、ハンコック自身がライナーでも書いているとおり、「ほぼ全曲がまったく異なる雰囲気を持つ作品」になっています。
 参加ミュージシャンは豪華です。スティーヴィー・ワンダーは「セント・ルイス・ブルース」で歌とハーモニカを、ジョニ・ミッチェルは「ザ・マン・アイ・ラヴ」でジャジーなヴォーカルを聴かせます。
 そのほかにもウェイン・ショーターやチック・コリア(ピアノデュオで)らジャズミュージシャンだけでなく、キャスリーン・バトル、オルフェウス室内管弦楽団というクラシック畑のアーティストも参加。
 オルフェウス室内管弦楽団のストリングスにのせて、ハンコックが弾くラヴェルのピアノ協奏曲からの第2楽章はロマンティックです。
 もちろん、全体でハンコックが弾いているのは、アコースティック・ジャズ・ピアノで、ちょうど60年代のマイルス・クインテットでの演奏を思わせる、美しくスリリングなインプロヴィゼーションを披露してくれます。

高音質360度サラウンド、別の世界に飛び込めるジャズ・アルバム

 SACDマスタリングはAnalogue ProductionsのSACDでおなじみのダグ・サックス。
 冒頭のアフリカン・パーカッションの音が出た瞬間から、音の良さにビックリするでしょう。ぶ厚い音です。ハンコックのピアノやベース音なども、かなりの高音質です。
 マルチチャンネルは、ピアノとリズムセクションは前方なものの、360度のポップス的なもので、ジャズには珍しくカラフルなサラウンド空間に浸れます。オルフェウス室内楽団のストリングスは、シルキーに広がります。
 ショウケースのような多面性のある音楽を、高音質360度サラウンドで。プレイボタンを押した瞬間から、別の世界に飛び込めるジャズ・アルバムです。
 個人的にはこのアルバム、サラウンドの効果もあって、ポップスでいう「トータルアルバム」や「プログレ」を聴くようなワクワク感がありました。

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ハービー・ハンコックのハイブリッド盤SACD特集

2010.5.31