Eighty-Eight'sレーベルのフュージョン・アルバム
本作は、ピアニスト兼作曲家のウィル・ブールウェアを中心としたグループ「ウィル&レインボー」のアルバム。
2002年に生まれた日本の高音質ジャズ・レーベルEighty-Eight'sの初期のアルバムです。DSDレコーディングで、マルチチャンネルも収録。
スティーヴ・ガッドのドラム、フィービー・スノウのヴォーカル
フュージョン系ジャズの王道とも言えるメンバーで、「イスラエル」から始まります。
ビル・エヴァンス・トリオで有名なこの曲も、マイケル・ブレッカーのサックス、ウィル・ブールウェアのピアノ、アンソニー・ジャクソンのベースで、ドライヴ感のある曲に変貌しています。
なかでもドラムのスティーブ・ガッドのブラシが素晴らしく、聴きほれてしまいます。このアルバムで一番の主役は、スティーヴ・ガッドのドラムだと思ってしまうくらい。「ニュー・アンド・オールド」でも、素晴らしいドラムソロを聴くことができます。
フィービー・スノウがヴォーカルをとる3曲も聴きごたえがあり、ちょうどいい、アクセントになります。
あとシンセサイザーの長尺の音や、ピーター・バーンスタインの粋なギターが、いい味付けになっています。
Eighty-Eight'sレーベル十八番の、厚紙の美しい紙ジャケット。
2chステレオは“音の濃縮ジュース”
サラウンド派の僕も、このアルバムでは2chステレオに、より惹かれました。
自分の好みでそろえた2本のスピーカーが、街のオーディオ店のショールームで聴いているように、“音の濃縮ジュース”を奏でます。
「おまえたち、キモチ良さそうだなあ」と、主人としても嬉しいわけです。もちろん自分の耳も、快感を感じています。
マルチチャンネル(5ch)は、アンビエント音により、2chの音場を広げるようなサラウンドです。後ろに音を配置することはありません。
これはこれでいいのですが、2chで堪能した“音の濃縮ジュース”を知っているだけに、このアルバムでは「2chのほうが好みかな」と思いました。
フィービー・スノウのヴォーカルも、やや残象が大きいめ(2chでも同じですが、2chではそんなに気になりません)。
もちろん2chかマルチかは、個人の好みです。そのときの気分で選べばいいと思います。
ちなみに、SACDマルチチャンネルや、DVD-Audioで“音の濃縮ジュース”なサラウンドは沢山あります。そういうサラウンドはやっぱり、2ch以上に素晴らしい音楽空間を表出します。念のため。
Amazon
ウィル&レインボーのSACD
2012.10.11
|