ニューヨーク・リユニオン/マッコイ・タイナー・カルテット
ニューヨーク・リユニオン/マッコイ・タイナー・カルテット
New York Reunion / McCoy Tyner Quartet
発売日2025年11月
Chesky Records / Evolution
SACDハイブリッド
LPレコード
2026年1月15日
今回のレビューでは、1991年にチェスキー・レコードで録音されたマッコイ・タイナー・カルテット『ニューヨーク・リユニオン』のSACDハイブリッドを取り上げる。
本作はチェスキー・レコードを傘下に収めたEvolution Musicによって、貴重なオリジナル・マスターからSACDハイブリッド化された1枚である。発売は2025年11月。
ジャズ・レジェンドたちが高音質のチェスキーで録音
メンバーは豪華だ。マッコイ・タイナー(p)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ロン・カーター(b)、アル・フォスター(ds)。ジャズ・ファンなら誰もが知るレジェンドたちだ。
1991年にこのメンバーが顔を合わせただけでもすごい。それが自然な音場にこだわったチェスキー・レコードで録音されたというのだから、ジャズとオーディオを愛する者にとって、格別なアルバムであろう。
そんな『ニューヨーク・リユニオン』が、新たにオリジナル・マスターからSACDハイブリッド化されたのだから、もう聴く前から申し分ない。そして聴いてみて、やはり良かった。

プラケースの上には箱付き。輸入盤国内流通盤は、小原由雄氏による日本語解説付き
往年のアコースティック・ジャズを聴くような喜び
楽器の定位は、ピアノが左寄り、サックスが右寄り、ドラムとベースが中央に定位する。それぞれが広がりを感じさせつつ、溶け合う音場だ。
流石にチェスキーの録音だけあって、平面的ではなく、ほんのり奥行き感のある音場。ハイエンドのオーディオになるほど、立体感のある音場が聴けそうな予感がする。
本作の録音は1991年とあって、ジャズの黄金期を過ぎた録音ではあるが、冒頭の「レコルダ・ミー」「ミス・ビー」「ホワット・イズ・ディス・シング・コールド・ラヴ?」を聴くと、たちまち50年代や60年代のジャズの雰囲気に浸った。
マッコイ・タイナーのピアノ・プレイ、ジョー・ヘンダーソンのサックス・ブロウは、まさに往年のアコースティック・ジャズそのものだ、と思う。演奏を聴いていて、Impulse!やBlue Noteのような渋いジャケットが頭に浮かんだほど。
収録曲の大方は、ジョー・ヘンダーソンのサックスがリードを取っていくが、マッコイ・タイナーも伴奏、ソロで「ああ、やっぱりマッコイ・タイナーだ」と思わせるブロック・コードやソロ・プレイを披露している。
収録曲のハイライト
ここまで息つく暇もないほどのプレイで惹きつけるが、4曲目「マイ・ロマンス」で一息つく。ピアノ・トリオでチャーミングな演奏を聴かせる(ビル・エヴァンス・トリオの演奏が好きな人には嬉しいトラックかもしれない)。
続くサックスとピアノのデュオによる「アスク・ミー・ナウ」も聴きどころの一つ。いかにもセロニアス・モンクらしい、この曲を、二人のインタープレイで聴かせる。ヘンダーソンの長いソロでのサックスの音色、目の前で吹いているかのようなキーの音なども印象深い。
もちろんリズム隊も聞きどころがある。ドラムのアル・フォスターの繊細なシンバルワークがSACDの音質をさらに印象づけるし、ベースのロン・カーターはソロの部分でやはり、心に響くものがある。
先に書いたように、この音楽を聴くと、昔のジャズ全盛期を思い出させるが、その違いは、やはりSACDというフォーマットにある。アナログ盤にありがちな音の歪みがなく、解像度の高い音、それでいてアナログライクな厚い音が伸びやかに聴こえるのが魅力だろう。
そう考えると、この音楽にはチェスキー・レコードが制作したピンク色のジャケットが、やっぱり相応しい。あらためてジャケットまで味わってしまうのであった。
今回はSACDハイブリッドでの試聴である。本タイトルは同時にLPレコード、MQA-CDでも復刻されている。お好みのソースでぜひ聴いてみて欲しい。
収録曲
1. レコルダ・ミー(リメンバー・ミー)
2. ミス・ビー(デディケイテッド・トゥ・マザー)
3. ホワット・イズ・ディス・シング・コールド・ラヴ?
4. マイ・ロマンス
5. アスク・ミー・ナウ
6. ビューティフル・ラヴ
7. ア・クイック・スケッチ
8. ホーム
ニューヨーク・リユニオン/マッコイ・タイナー・カルテット
New York Reunion / McCoy Tyner Quartet
発売日2025年11月
Chesky Records / Evolution
SACDハイブリッド
LPレコード
