ブルー・ボッサ/アナ・カラン
2026年2月12日
今回は、2001年にチェスキー・レコードで録音されたアナ・カラン『ブルー・ボッサ(Blue Bossa)』のSACDハイブリッドを取り上げる。
本作は、発売以来、オーディオ雑誌のソフトレビューでよく取り上げられてきたディスクだから、ジャケット写真を見て思い当たる方も多いだろう。それくらい有名なアルバムだ。
長らくSACDで手に入らなかったが、2025年にチェスキー・レコードを傘下に収めたEvolution Musicによって、貴重なオリジナル・マスターからSACDハイブリッドで復刻された1枚である。
ボサ・ノヴァの魅力を伝えるチェスキーレコードの歌姫
アナ・カランはブラジル、サンパウロ出身のシンガー。1989年にチェスキー・レコーズと契約し、同レーベルを代表する歌姫となった。
デビュー作は『リオ・アフター・ダーク』(同じくSACDハイブリッドで復刻)。
この『ブルー・ボッサ』は2001年に録音されたアルバムで、日本人にもなじみ深い「デサフィナード」や「コルコヴァード」、ジャズ・スタンダード「フライ·ミー·トゥ·ザ·ムーン」などを収録している。透明感のある歌声で、新たなボサノヴァの魅力を伝えてくれる作品だ。
収録はニューヨークのセント・ピータース教会で、録音エンジニアはバリー・ウォリフソン、プロデュースはデヴィッド・チェスキーとクリフ・コールマン。

ジャケット裏。輸入盤国内流通盤は、小原由雄氏による日本語解説付き
ナチュラルで微細な歌声とアコースティックな響き
本作の最大の聴きどころは、なんといってもアナ・カランの瑞々しいボーカルだろう。 アナ・カランの歌声は、この時点でかなり風格のあるベテランのような歌いぷりにも思える。
1曲目の「デサフィナード」が流れた瞬間、センターに定位するアナ・カランの声の生々しさに魅了された。左スピーカーにサックス、右スピーカーにギター、センターにベースとドラムという配置。サックスはポール・デズモンドのような柔らかい音色。中央のベースは豊かな音像として空間を支える。
ヴォーカルの空気感が申し分ないのはもちろん、オン・マイク気味のサックスやギターにも空間間を感じさせる音で、全体として整った音場になっている。ボサ・ノヴァの心地良いリズムもあって、オーディオショップで流れていたら、「おっ!」と思うことだろう。
それにしても曲がいい。本作にはボサノヴァの名曲からジャズ・スタンダードまで、彼女のセンスが光る選曲が並ぶ。 最初の「デザフィナード」はアナ・カランの師匠となるアントニオ・カルロス・ジョビンの作曲した名曲。「ブルー・ボッサ」は ジャズ・トランペッターのケニー・ドーハムの名曲だ。チック・コリアのようなエレクトリック・ピアノが参加する曲もあった。
いい音なので気持ちよく聴けるが、ボサ・ノヴァに身を委ねると、さらに気持ちよくなれるSACDである。
収録曲
1. デサフィナード
2. ブルー・ボッサ
3. トリスチ
4. コルコヴァード
5. ソ・チーニャ・ジ・セール・コン・ヴォセ
6. イヌーティウ・パイザージェン
7. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
8. アンジョ・ジ・ミン
9. ザ・テレフォン・ソング
10. オ・ヴェント
11. ソ・ポル・アモール
12. プーラ・ルース
