でこぼこのある曲構成で、アルバムを聴く楽しさ
この作品は、聴き通すのが楽しみなSACDです。収録曲の構成が気に入っています。いわゆるベタなビッグ・バンド曲が並んでいるのではなく、1曲1曲のでこぼこ感がいいのです。
「スキン・ディープ」
1曲目「スキン・ディープ」はいきなりドラムソロをフューチャーした曲。それもかなり長い。ドラマーのルイ・ベルソンは1950年代初頭のドラムソロとは思えないほど、パワフルに叩きます。まるでツェッペリンのジョン・ボーナムのような重量感。
このドラムソロが、曲のほとんどをしめているのですから、アルバムのオープニングとしては意表をつかれた感じ。
オーディオ的にはバスドラの重量感ある響きがたまりません。
「ザ・ムーチ」
2曲目「ザ・ムーチ」は誰もが知っている有名なメロディ。
ここで1曲目をチャラにするような、ポップで親しみやすいビックバンド・サウンドの登場です。
このSACDはモノラルですが、リードをとる楽器の音は太く51年録音にしては、かなり存在感があるいい音だと思います。
「A列車で行こう」
3曲目はおなじみ「A列車で行こう」。きたー!
しかし、これも普通のアレンジではなく、コンボ編成からのスタート。ようやくビックバンドが有名なテーマを鳴らしたところで、ベティ・ロッシュのスキャット・ボーカルにチェンジ(これ後年、美空ひばりも参考にしたスキャットだとか)。
さらにアレンジを変え、豪放なテナーソロが吹き荒れるといった案配。オシャレさと豪快さのまじったカッコいいアレンジの「Aトレイン」です。
「Aトレイン」だけでなく、このアルバム全体を通してですが、アレンジ的に、コンボ・アレンジとビックバンド・アレンジの領域があいまいで、それもすごくカッコいいなと思っています。
「パーディッド」
4曲目「パーディッド」は、もうノリノリのナンバーで、楽団員のアドリブ・チェイスに聴いているこちらもフィーバーします。モノラルなのに、なぜかSTEREOのような音のひろがりで、すごくいい。
意表をつく1曲目のドラムソロから、曲を追うごとにポップさを増してきました。
「コントラヴァーシャル組曲」
そして最後5曲目は「コントラヴァーシャル組曲」。
エリントンの意欲作らしいですが、今までのポップ嗜好から一転して芸術嗜好に変わります。
それまでの開放的なノリが薄れたのですが、そのかわり独特の緊張感があらわれ「おっ、ちょっと芸術的なサウンド」と思わずにはいられません。でも全然難解ではなく、ビッグバンドの楽しいナンバーでもあるのでご心配なく。
で、この緊張感がピークに達したとき、組曲の2曲目「レイター」はあっさり終わってしまう。アルバムも終了。
なんか不思議に始まって不思議に終わるイメージ。でも聴く時のステレスは全然ない。今日も、ノリノリの有名ナンバーの連続に「よかったあ!」と思う自分がいます。
一度このアルバムを好きになってしまうと「ちょっとでもいい音で聴きたい」という欲望がでてくることは必至。できれば音の太いSACDで聴いてもらいたいものです。
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 2010.1.25
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