34年ぶりに再結成されたザ・フォーク・クルセダーズのSACD
2003年発売。40代以上の方はご存知と思いますが「帰ってきたヨッパライ」のフォークルが“帰って”きました。
メンバーは加藤和彦、きたやまおさむ、そして、はしだのりひこのかわりに坂崎幸之助(アルフィー)の3人です。
アルバムタイトルは『戦争と平和』と重いのですが、音楽は肩の力を抜いた自然体です。
「芸術家、科学者、そして宗教家」の社会風刺、「11月3日(雨ニモマケズ)」「ライカはローリング・ストーン」(吉田拓郎、いずみやしげるも参加)のパロディ、「巌流島」のユーモアなど、フォーク・クルセダーズならではの曲だと思います。豊かな音楽性と余裕がなければこれだけのことはできない。
全16曲+おまけ3曲。「あの素晴らしい愛をもう一度」「白い色は恋人の色」「ヨイトマケの唄」など懐かしの7曲が再レコーディングされているのもうれしい。
「あの素晴らしい愛をもう一度」では2番の「あか~とんぼの、うーたを~♪」をオリジナルと同じく、きたやまおさむさんの朴訥とした歌できけて、思わず涙してしまった。これはほんとうに良い曲だ!(ちなみにわたしのカラオケ18番)。
マルチチャンネルは演劇的空間
オノ・セイゲンによるDSDレコーディング。
派手なアレンジはないが、加藤和彦、坂崎幸之助の弾く、マーティン、ギブソンのギターがたいへん美しい。
「SACDでは、CDではなくなっていた演奏家のエモーショナルな部分が聴ける」(SACDジャーナルVol.2)と加藤和彦さんはインタビューで答えていました。
マルチチャンネルでは、それぞれの曲調にあわせてのマルチになっているので曲の個性がさらに引き立つ、シブイが凝ったマルチだ。
「あの素晴らしい愛をもう一度」の空を飛ぶように雄大に広がるストリングスアレンジがあるかと思えば、「あわて床屋」では健康ランド風の安っぽいホールトーン、などなど、ほかにもいろいろ、まさに演劇的な空間となる。
それが、わざとらしく聞えないのは、ザ・フォーク・クルセダーズの音楽と、オノ・セイゲンのミキシングのセンスの良さでしょう。J-POPでは貴重なSACDですね。
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2005.10.29
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