Stereo Sound REFERENCE RECORD 石川さゆり
2024年6月23日
石川さゆりの歌唱力が伝わるオリジナルマスターからのSACD化
ステレオサウンド(Stereo Sound)が石川さゆりのSACDハイブリッドをリリースした。
これは石川さゆりのレコーディング・エンジニアとして関わった内沼映二氏(ミキサーズラボ)が、このSACDのために選曲・構成したアルバムだ。オーディオ的にも手応えのあった録音が厳選されているという。
楽曲は演歌からジャズ、ポップスまで広く選曲されている。内沼氏が選曲を悩みに悩んだだけあって、どの曲も石川さゆりの魅力を伝える。
全曲は内沼氏自身によりリマスタリングされている。リマスタリングにあたって、内沼氏はフラットトランスファーを基本方針とした、という。
ブックレットには内沼氏が曲ごとに聴きどころ、コメントを寄せているのでリスニングの参考になることだろう。

片面に3曲なので余裕のカッティング、盤面を見ただけでも聴いてみたくなるレコード
さまざまなタイプの曲で石川さゆりの歌を聴く
最初に述べると、収録された曲は基本的に同時録音、つまり一発録りなのだそうだ。石川さゆりと演奏者たちの緊張感が伝わってきそうである。
「夢の浮橋」「転がる石」はいわゆる石川さゆりらしい演歌、流行歌タイプの曲だと思う。最初は演歌のメロディ、節回しの方に耳を奪われるが、耳をかたむければオーディオ的な空間に心が向かう。そう気づかせてくれる音作りなのだ。
楽器が多くても窮屈ではない。音の隙間が適度にほどけた空間は伸びやかである。そこに石川さゆりのヴォーカルが立体的に、そしてふくよかに浮き上がる。
そのあとアルバムはジャンルを超えた楽曲が並ぶ。オーディオ的な空間の感じやすさという点では、ここからが特にわかりやすいと思う。
「さのさ」は俗曲と呼ばれる曲だが、三味線にピアノとベースが加わりグッとモダンに。アルバム中最もオーディオ・リファレンスとして最適、と内沼氏もコメントを寄せている。確かに抜けのいい空間だ。
ポップス路線の楽曲も登場する。「木遣りくずし」は太鼓、和楽器とビッグバンドのサウンドが素晴らしい。それにしても太鼓の音を聴くと心がうずくのはやはりオーディオマニアなのだろう。
「再会」は加藤登紀子の作詞作曲によるフォーク風の曲で、個人的には一番気に入った曲だ。ストリングスをバックに石川さゆりがしっとりと歌う。
「いつか微笑むとき」は東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦の作詞、NARGOの作曲で、ボサノヴァの曲調は実にムードがある。
ここらあたりになると石川さゆりは演歌歌手というよりも、個人的には太田裕美のような、温かみのあるメロディを歌う歌手に感じた。
他にもアコースティックギターによる「山査子」、オーケストラでの「残雪」とバラエティに富んだ曲が並ぶ。「花火」は山崎ハコの作詞作曲。これもギターの伴奏が印象的。70年代フォークのような哀愁を帯びた曲。
聴けば聴くほどに石川さゆりの実力が伝わるSACDと感じた。

レコードが3枚なのでジャケットは三つ折り。
- 収録曲
- 01 夢の浮橋 作詞:吉岡 治 作曲:弦 哲也 編曲:若草 恵
- 02 転がる石 作詞:阿久 悠 作曲:杉本眞人 編曲:川村栄二
- 03 朝花 作詞・作曲:樋口了一 編曲:森 俊之
- 04 雪幻花(ゆきのはな) 作詞:吉岡 治 作曲:弦 哲也 編曲:南郷達也
- 05 さのさ 作詞・作曲:作者不詳 編曲:三宅一徳
- 06 木遣りくずし 作詞・作曲:作者不詳 編曲:三宅一徳
- 07 酒供養 ~縁歌バージョン~ 作詞:吉岡治 作曲:杉本眞人 編曲:若草 恵
- 08 再会 作詞・作曲:加藤登紀子 編曲:若草 恵
- 09 いつか微笑むとき 作詞:谷中 敦 作曲:NARGO 編曲:村田陽一
- 10 山査子 作詞・作曲:岸田 繁 編曲:田代耕一郎
- 11 残雪 作詞・作曲:加藤登紀子 編曲:斎藤ネコ
- 12 花火 作詞・作曲:山崎ハコ 編曲:安田裕美

