中森明菜 歌姫 -Stereo Sound Selection- Vol.3 |
中森明菜:歌姫 -Stereo Sound Selection- Vol.3
アナログレコード
33回転 180g 重量盤
発売日:2021年12月10日
※ステレオサウンド社独占販売品
文・牧野良幸 2021年12月13日
ステレオサウンドから中森明菜『歌姫-Stereo Sound Selection-Vol.3』がリリースされた。2021年12月10日発売。
これは中森明菜が名曲をカヴァーした〈歌姫シリーズ〉からステレオサウンドが独自に選曲して製作したアナログレコード。好評の企画で、その第3弾である。33回転、180グラム重量盤。
製作はユニバーサル・ミュージックが保管してきたマスター素材をベースに、日本コロムビアの武沢茂エンジニアによってカッティングされた。使用したのは往年の名機ノイマンVMS70カッティングマシーンとSX74カッターヘッド。
第1弾、第2弾と聴いてきたが、第3弾も期待を裏切らず、中森明菜のヴォーカルを高音質で楽しめた。
1曲目は中島美嘉の「雪の華」。冒頭から中森明菜のヴォーカルがくっきりと浮かぶ。毎度のことながら、実在感のあるヴォーカルの音に驚いた。
いまだに針を落とす時は、若い頃に聴いたレコードの音を思い浮かべるせいか、いざ再生音が飛び出すとびっくりしてしまうのだ。このレコードのように高音質を目指して作られたレコードは、本当にいい音だ。演奏もシッカリとしてタイトな音である。
それにしても「雪の華」のようなJ-Popらしいバラードも、中森明菜が歌うと“明菜ワールド”になるなあ。
このあと髙橋真梨子のヒット曲「桃色吐息」、そして一青窈が歌った「ハナミズキ」と続き、まるで山河をゆっくりと流れていく小舟に乗っているかのように、中森明菜のヴォーカルに酔いしれた。これだけ心地よい時間が流れるレコードも珍しい。A面の最後は、ここでもヴォーカルの鮮やかなテレサ・テン「別れの予感」だ。
レコードをひっくり返してB面を聴く。
中島みゆき「悪女」でスタート。中森明菜のちょっと不良っぽい雰囲気が似合うと思う。 アコースティック・ギターの華やかなサウンドはレコード面が変わったことを印象づける。アナログレコードならではの、B面での心機一転スタートが新鮮。
Kiroroの「長い間」は雰囲気ががらりと変わり、4人のチェロ奏者とピアノがバックを務める。
石川セリ「ダンスはうまく踊れない」は、霧雨のような微粒子ストリングスと小刻みなリズム。ステップを踏む人が目に浮かぶようだ。最後の井上陽水「恋の予感」は、“なぜ なぜ”というフレーズが、中森明菜のヴォーカルだと、より魅惑的である。
以上A面4曲、B面4曲という収録時間が、今の大人のリスニングにぴったりである。リスニングはこれくらいの収録時間がちょうどいい。カッティング的にも一番最適な曲数ではないか。
中森明菜のファンは必聴のレコードだが、「最近の新しい音楽は聴けない」というオーディオ・ファイルにもおすすめだ。コレクションしただけで眠ってしまうレコードと違って、何度も聴いて楽しめるレコードだから。
収録曲(括弧内はオリジナルの歌手)
Side A
Side B
中森明菜:歌姫 -Stereo Sound Selection- Vol.3
アナログレコード
33回転 180g 重量盤
発売日:2021年12月10日
※ステレオサウンド社独占販売品